出版社内容情報
親和力とは,化学で,元素どうしが互いに引きつけあって結合する力をさすが,ゲエテはこれを人間関係にあてはめて,男女間の複雑な心の動きを描きだした.エドアルトとその妻の結びつきは,友人の大尉と少女オッティリエの出現をきっかけに,親和力の避けがたい支配によって安定を失い,やがて破局に導かれてゆく.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
109
オッティリエの日記は名言集のようでもあり、音読したくなる。人間の特色は、かれらが何をばからしいと思うか、によって、もっともよくわかる。理智的な人は、ほとんどあらゆることをばからしいと思い、理性的なひとはほとんど何事をもそうは思わない。あー、私の内心がゲーテには透けて見えるよう。人と会うことを億劫に思うのもこのせいだ。畏敬の念がみなぎる集会なんて韓国ドラマの中でしかないのだから。世の中をのがれるのは、芸術によるのが最も確かであるし、世の中と結びつくのも、芸術によるものが最も確かである。幸福な時も苦難の時も。2021/01/14
ダイキ
5
「情熱は欠点か、または長所である。ただし高度のものだ。われわれの情熱は、本当の不死鳥である。古いのが焼け死ぬと、すぐまた新しいのが、その灰のなかから立ち上がってくる。大きな情熱は、不治の病である。それをいやし得るだろうと思われるのが、いよいよもってそれを危険なものにしてしまう。情熱は告白によって高められ、かつやわらげられる。中庸の道というものは、われわれの愛する者たちに対する信頼と沈黙の場合ほど、ねがわしいことはないであろう」〈オッティリエの日記から〉2017/03/01
ゆかっぴ
4
自分でも予測できなかった心の動きにどのように決着をつけていくのか、興味深く読みました。情熱的なエドアルトとオッティリエよりも私はシャルロッテに惹かれました。2013/05/16
浮草堂美奈
3
図書館で借りて。とても美しい文章。完成していく庭の様子で、恋の動きを表す表現が心に残った。享楽に流された人間は破滅を迎えるのも、美しくこぎみよかった。2016/12/06
よこまつ
2
後半にかけてのストーリー展開がわかりにくい点があるが、ゲーテの思想と物語がうまく融合している。ほとんど前知識なしで読めるのも良い。2014/05/01
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