出版社内容情報
生の意義を把握するためとあらば悪魔に魂を売りわたすことも辞さぬファウストにとって自己救済はいかにして可能だったか.――ゲーテ(一七四九―一八三二)は若くしてこの大作を書きはじめ,完成までにほとんど全生涯を費した.そして脱稿のあと「私の今後の生活は全くの贈物のような気がする」といって深い悦びを語ったという.
内容説明
グレートヘンの悲劇からたち直ったファウストは次に美を追求することで生の意義を把握しようとして果たさず、最後に人類のため社会のための創造的活動によってはじめて自己の救済にあずかる…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
90
烈しく燃えて私を襲うのは、知と美である。苦痛が消え歓びだけが凄まじく絡みついてくる。彩り華やかな楽しい遊戯は人生最高の暇つぶしだ。愛は線香花火のようなものでパチパチと光燃え尽き堕ちてしまうのが自然の成り行きなのだよ。だからこれもまた最高の美なのである。2021/05/01
esop
76
結構読み飛ばしてしまった(出演者が多く、着いていけなくなる) 果たして、ファウストとメフィストフェレスの賭けの行方はどうなるか。 衝撃の結末に刮目せよ!! 私はえーーっ!えっ?ってなった メフィストフェレス、可愛げがある2025/04/23
マンセイ堂
51
この本が現代も出版されている理由が分かったように思います。物事の本質をえぐるようなメッセージが、話の所々にあります。自分の魂を救済する唯一の方法は、誰かを救済すること。この考えが真実なのかもしれません。2013/09/13
Y2K☮
50
出来事が明快には記されてないが何となく読み取れる。むしろ明快じゃないから脳裏でイメージする作業が促される。「源氏物語」等の日本の古典の様に。性交を経ずに生まれた精神のみで肉体を持たぬホムンクルスに衝撃。セックスの快楽と種の存続を分ける思想は潔癖だった若い頃に触れたら大火傷してた。壮大な詩に刻み込まれた数々の箴言も重みが別格。これぞ巨匠の真骨頂。そして彼が某元都知事と違うのは、功成り名を遂げた晩年の傲慢さが生む老害的な過ちを描いたこと。これが無ければ画竜点睛を欠く。謙虚さあっての麗しきラスト。きっと又読む。2016/09/08
姉勤
43
大なり小なり、善なり悪なり、人がこの世に成したことは死と共に消滅する。魔とされたメフィストフェレスは、若返り、この世の権力、神界、精神界と自由奔放にさせた上、最後は昇華されたファウストに対し、その買い換えんした人格と言える情報を我が物するものを永久化できなかった自身に、仏教の無常にも似た感情を吐露し終わる。手中の玉を奪った相手は、よりにもよってファウストに騙し、孕まし、そしてこの世の縁より信仰を選んだ少女。大作を書きつつ、作者のメタ的言葉を言わす、諧謔。2024/10/31
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