出版社内容情報
親友のいいなずけロッテに対するウェルテルのひたむきな愛とその破局を描いたこの書簡体小説には,若きゲーテが味わった青春の情感と陶酔,不安と絶望が類まれな抒情の言葉をもって吐露されている.晩年,詩人は「もし生涯に『ウェルテル』が自分のために書かれたと感じるような時期がないなら,その人は不幸だ」と語った.
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
98
今日では全く流行らないし共感を得ない行き過ぎた愛の概念だなぁ。本書が崇められるのも恋愛による自殺と離婚が当時は新しかったのだろう。ルソーの『新エロイーズ』にも敵わないや。ゲーテは執筆によって古き憫然な精神を殺したことに成功したのかな。2021/04/29
マンセイ堂
65
読み終えて、読まなければよかったと思いました。誰もが経験したことがある話です。愛する人が他の誰かと一緒になってしまいます。当時のヨーロッパでウェルテルのように自殺する人が相次いだと知り、その気持ちがすごく分かるような気がします。自分だったらひたすら眠るか、暴飲暴食するかもしれません。2013/10/25
里愛乍
59
これほどまでに誰かを想い焦がれ、自分の破滅をも厭わない感情である愛とは一体。確かに、ここまでの情熱を以て生涯を終えるのも、一度もそういう経験もなく平和に生涯を終えるよりは、ある意味幸せなのかもしれない。中盤にあるウェルテルとアルベルトの対話は非常に興味深く、また終盤ではウェルテルのロッテへの想いが痛々しいほどに伝わってくる。苦手なジャンルではあるが、綺麗で惹き込まれる文はさすがの名作だなと思いました。2016/01/10
イプシロン
50
激しくロッテを愛したウェルテル。だがそれはロッテが自分を愛していると信じたい激烈な感情の裏面でもあった。それゆえにロッテの一挙手一投足が異常に気にかかり、やがて彼を狂気の狭間へと陥れるさまは実に恐ろしい。相手を思う気持ちが募ることは、相手からの愛情が信じられなくなる猜疑に繋がるという考察の鋭敏さ。そしてその猜疑を神さえ信じられなくなった者として描写するあたりは鬼気迫るものがある。相手の愛情を信じられない自らを罪人と見て、ウェルテルはクリスマスの日に引金をひく。それは自己不信への贖罪であり磔刑であったのだ。2019/02/06
魚京童!
43
人間の中には、自己を拡充してさらに新しい発見をし、さらに遠くさまよ出でようとする欲望がある。それだのにまた、すすんで制約に服し、習慣の軌道を辿って、右にも左にも目を放つまいとする内的な衝動もある。2016/01/31
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