出版社内容情報
「隠喩と神話は人を殺す」。ソンタグ(1933-2004)は、結核と癌というふたつの病いをとりまくテクストを読み解き、病いに付与される過剰な「意味」がいかに人びとを支配してきたか、その暴力的なありかたを見事に解体してみせた。エイズという「伝染病」の分析とともに、今なお鮮烈な「反解釈」実践の書。(解説=都甲幸治)
【目次】
隠喩としての病い
エイズとその隠喩
原 注
訳者あとがき
《始まりの本》版によせて
解説 意味との闘い(都甲幸治)
内容説明
「隠喩と神話は人を殺す」。ソンタグ(1933‐2004)は、結核と癌というふたつの病いをとりまくテクストを読み解き、病いに付与される過剰な「意味」がいかに人々を支配してきたか、その暴力的なあり方をみごとに解体してみせた。エイズという「伝染病」の分析とともに、時を経てなお鮮烈な「反解釈」実践の書。
目次
隠喩としての病い
エイズとその隠喩
1 ~ 1件/全1件
- 評価
本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
66
生きている限り、人は自身の身体に頓着しない。しかし、否が応でも己の身体性を意識するのは、何らかの理由で不調な時だけだ。特に病気は文学上において隠喩として機能してきた。だが病気が持つイメージはその意味合いが正であれ、負であれ、患者自身に還ってしまう。それが完全治癒が現時点の所、難しいものとされるなら猶更。更にそれを政治に利用すれば、他者をも虐げる正当な理由として機能してしまう危険性を説く。コロナ渦初期の頃、感染者がいるという噂が流れた際に特定/排除しようと躍起になる風潮に嫌な気持ちになった時を思い出した。2026/01/25
Ex libris 毒餃子
15
病気は個人的に肉体に関係する事象だが、それが隠喩として文学などに用いられたときに隠喩に留まらず、現実の病人に対するイメージに戻ってくる、という話。結核と癌の話が分かりやすい。結核は日本人の病死第一位を長らく占めた国民的な病気であるため、欧米の隠喩とは少し異なるが、癌は通じていると思う。エイズや梅毒の話になると国家観に拡張されていく。本書の現代的意味はCOVID-19の隠喩に対する警句だ。良本。2026/01/18
selva
1
ものすごく面白かった。『反解釈』を2/3も読めてないのに大丈夫か読めるかなと思ってたけどすごく読みやすいのはテーマのせいか。2025/12/30
佐藤
1
エイズで語られる戦争的隠喩がさらに敷衍され自明視されたのがコロナだったんだなと改めて。言語の拡張可能性としてウルフにおける「病」がある一方、常に統治権力との類推を暴くソンタグと、詩性/政治性をめぐって二者は一見噛み合わないように思えるが、チャペック『白い病』におけるソンタグの一定以上の評価、病を個人の抑圧としてではなく、権力構造の批判として読み得る想像力というのはウルフにも架橋できそうな内容。さらにいえばサラマーゴ『白の闇』は病の「"視"点」を通して権力を批判するということに成功した稀有な作品だと思う。2025/12/19




