出版社内容情報
スタインベック(一九〇二―六八)が終生愛した故郷、カリフォルニア州のサリーナス盆地を舞台とした短篇集。名品と名高く鮮烈な印象をのこす「マム(西洋菊)」「朝めし」「殺人」、牧場で馬とともに暮らす少年の成長を描く「赤いポニー」他、緊密な、そして限りなく豊かな筆致で書かれた原書収録の一三篇をすべて収める。
【目次】
マム(西洋菊)
白いウズラ
逃走
ヘ ビ
朝めし
襲撃
ハーネス(締め具)
自警団員
ジョニー熊
殺人
聖処女カティ
赤いポニー
Ⅰ 贈り物
Ⅱ 大いなる山並み
Ⅲ 約束
人々を率いる者
訳者あとがき
内容説明
スタインベック(一九〇二‐六八)が生まれ育ったカリフォルニア州のサリーナス盆地を主に舞台とした短篇集。名品と名高い「マム(西洋菊)」「朝めし」「殺人」、牧場で馬とともに暮らす少年の成長を描く「赤いポニー」他、原書収録の一三篇をすべて収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
50
「マム(西洋菊)」はマラッドの『哀しき酒場のバラッド』やアンダーソンの『ワインズバーグ・アイオワ』を彷彿とさせる、今と違う自由への憧れが諦めとそれを選んだ自分への失望に変わるまでの描写が痛ましい。大人になった今は猶更、それがより一層、心に効きますね・・・。怪奇小説のアンソロジーでよく、取り上げられる「ヘビ」ですが、冒頭から海星を引き千切る、シュレディンガーの猫を再現する行為を理性的なものとして見做す言動でドン引きさせたフィリップ博士のモデルが作者の知人であったとは!しかも実話なのにも驚かされました。2026/04/26
sugsyu
1
掌編「朝めし」はタイトルそのままに幸福な朝食の風景を描くが、その晴れ晴れとしたトーンはこの短編集では例外的。他は震えるほどに暗く、それもアメリカの風土特有の荒涼たる暗さだ。そこでは自然が人の慰みになることは皆無で、むしろその広漠たる風景が孤独を以て包囲するようだ。差しはさまれるユーモアは、むしろもの哀しさを強調する。なかでも「ジョニー熊」は凄まじい逸品。物真似上手な白痴男が暴きだす、地方名士姉妹の秘密…というアメリカン・ゴシックの極北。淡々とした筆致がサスペンスをいや増す。2026/04/08




