出版社内容情報
スタインベック(一九〇二―六八)が終生愛した故郷、カリフォルニア州のサリーナス盆地を舞台とした短篇集。名品と名高く鮮烈な印象をのこす「マム(西洋菊)」「朝めし」「殺人」、牧場で馬とともに暮らす少年の成長を描く「赤いポニー」他、緊密な、そして限りなく豊かな筆致で書かれた原書収録の一三篇をすべて収める。
【目次】
マム(西洋菊)
白いウズラ
逃走
ヘ ビ
朝めし
襲撃
ハーネス(締め具)
自警団員
ジョニー熊
殺人
聖処女カティ
赤いポニー
Ⅰ 贈り物
Ⅱ 大いなる山並み
Ⅲ 約束
人々を率いる者
訳者あとがき
内容説明
スタインベック(一九〇二‐六八)が生まれ育ったカリフォルニア州のサリーナス盆地を主に舞台とした短篇集。名品と名高い「マム(西洋菊)」「朝めし」「殺人」、牧場で馬とともに暮らす少年の成長を描く「赤いポニー」他、原書収録の一三篇をすべて収める。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
99
”赤いポニー”(昔は赤い仔馬)は瑞々しい名作ですね。初期の短編集、新訳。今年刊行2026/09/22
NAO
54
題名の『長くのびた盆地』とはカリフォルニア州サーリナス盆地のことで、スタインベックの生まれ故郷、収められているほとんどの話がこのサーリナス盆地を舞台にしている。1930年代なので現代ではちょっと考えられないようなことも描かれているが広大な農業地帯で生きる骨太な人々の生活が生々しく描かれている。「赤いポニー」は既読。「マム」 「朝めし」がよかった。「聖処女カティ」は舞台がサリーナスではなくフランスの田舎のカトリック教会を風刺したちょっと異質な話。2026/07/15
藤月はな(灯れ松明の火)
51
「マム(西洋菊)」はマラッドの『哀しき酒場のバラッド』やアンダーソンの『ワインズバーグ・アイオワ』を彷彿とさせる、今と違う自由への憧れが諦めとそれを選んだ自分への失望に変わるまでの描写が痛ましい。大人になった今は猶更、それがより一層、心に効きますね・・・。怪奇小説のアンソロジーでよく、取り上げられる「ヘビ」ですが、冒頭から海星を引き千切る、シュレディンガーの猫を再現する行為を理性的なものとして見做す言動でドン引きさせたフィリップ博士のモデルが作者の知人であったとは!しかも実話なのにも驚かされました。2026/04/26
くさてる
11
短編集。ほとんどの作品が既読だったけれど、やはりスタインベックは良いです。「朝めし」や「赤いポニー」の素晴らしい文章と描写、温かくも厳しいストーリーも良いけれど、やっぱりわたしは「白いウズラ」「ヘビ」「ハーネス(締め具)」「ジョニー熊」などの、人間のいびつなところをくりぬいてみせる作品群が好きです。2026/05/26
qwer0987
10
『赤いポニー』の一連の作品がすばらしい。冒頭の『贈り物』のジョディの心情を思うと切ない。ハゲタカへの行為はポニーの尊厳のための戦いだ。『大いなる山並』のヒターノの寂寞とした行為も忘れがたいが、『約束』の消化不良とな展開も胸に刺さる。ジョディも仔馬には生きてほしかったが、そういう形でなかったはずだ。ビリーの行動が善意からきているだけに辛い。『人々を率いる者』の祖父に寄り添おうとする心情もすばらしい。他ではひりひりするような雰囲気の作品が良かった。『逃走』『襲撃』『ハーネス』『ジョニー熊』あたりが好みである2026/08/07




