出版社内容情報
銀行資本による農業機械化のため故郷の地を追われたジョード一家は,仕事を求めて緑の地カリフォルニアへ長い苦しい旅をつづけて移住するが,ここでもすでに労働者はあり余っていた.作者はアメリカの三十年代の社会をリアルに描き時代の病弊をえぐると同時に,あらゆる苦難に立ち向かって雄々しく戦う人間の姿を感動的に物語る.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
detu
28
図書館本。古い岩波文庫なので、たいへん読みづらい。オクラホマは西部なのだと知る。1930年代の西部は貧困に喘いでいた。夢の新天地カリフォルニアを目指す大家族。艱難辛苦は下巻へと。2018/10/27
スイ
13
タイトルとあらすじはずっと前から知っていたけれど、ひたすら暗くて重くてしんどい話なのだろうと敬遠していた。 が、昨年読んだ本に続けて登場した(「アルバート、故郷に帰る」と「プリズン・ブック・クラブ」)ので、これは読めということだろうと観念して読み始めた…ら、びっくり。 めっちゃくちゃ面白い。 ちょっとー!言ってよー!! 凶作の上に大資本家に農地を奪われ、中西部オクラホマ州から西部カリフォルニアまで移住する貧しい農民達、あちこちで金は騙し取られ、働き手が不足しているという目的地の情報も明らかに詐欺まがい。2017/04/05
秋良
6
農業の機械化によって土地を追われる小作人。職を失ったことへの補償はもちろん、ない。仕事を求めてカリフォルニアへ向かう。家族がバラバラにならないよう、絶望を表に出すまいとする母の強さ。いつの時代も女は強い。2016/05/23
河野伸介
5
米国の農業を営んでいる一族の移住の話です。この作品はちょうど米国が農業国から英国の影響を受けた工業国へと変移していく過程の中の話です。一台のトラクターが多数の労働者の労働を奪い、移住せざるを得なくなる人々はカルフォルニアを目指します。カルフォルニアでは多くの労働者を必要としているとされているからです。著書では車が象徴的に描かれています。フォードに代表される大衆車は米国の工業化の最たるものですから著者であるスタインベックは象徴的に描いたのだと考えられます。工業化の中で抗う人々が鮮やかに映し出されています。2014/07/23
あい
1
政府ってやつは、生きている人間よりも死んだ人間のほうに興味をもっているもんだからな。2012/09/30