出版社内容情報
伯母の勧めで,ロンドン郊外の由緒ある豪邸を訪れたアメリカ娘イザベルは,そこにヨーロッパの円熟した文化を見出し,広大な世界が開けてゆくような陶酔感を味わった.やがてフィレンツェに在住のアメリカ人オズモンドと結婚,次々におそう試練に耐えて成長してゆくイザベルを見事な語り口で描くジェイムズ(1843-1916)の代表作(1881).
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
173
美しいアメリカ娘イザベルを通して、 老大国イギリスの社交界の旧弊さを描く。 多くの求婚者に対する イザベルの反応が 興味深い。当時のイギリスのご婦人たちが 結婚に求めるものとの違いが 丹念に描かれる …新しい女性の象徴でもあるイザベルが今後 どうなっていくのか?次巻以降 楽しみ。2018/06/01
NAO
57
由緒ある邸宅を買って、病弱な息子と二人イギリスで暮らしているアメリカ人銀行家タチェット氏のところに、普段は別居してアメリカに住んでいる妻が姪イザベルを連れてやってくる。この、風変わりな父親の方針であまり教育を受けることもなく育った美しいイザベルは、周囲の男たちを次々と魅了していく。突然金持ちの庇護者が現われて戸惑いながらも喜んでいるイザベルが成長していく姿を、愛情豊かに、だが少し冷めた目で見つめているタチェット父子。新しい女性の象徴でもあるイザベルは、イギリスの伝統と価値観にどう対処していくのか。2016/11/20
雪月花
47
本作の原書と並行して照らし合わせながらの読書なので、勉強になる。ヘンリー・ジェイムズ自身もアメリカからイギリスに移住したので、アメリカ人から見たイギリス人、イギリス人から見たアメリカ人の描写が興味深い。自由な探求心を持つイザベルが誰にも束縛されたくなくて、次々と求婚してくる男性を断る上巻では、イザベルを温かく見守る病弱な伯父のタチェット氏と従兄のラルフとは対照的に、女性軍はとても強く無神経にも描かれている。ヨーロッパを巡る旅に出るイザベルが今後どうなっていくのか楽しみ。2021/10/09
りつこ
40
面白いような面白くないような。古臭いような案外新しいような。そんなに心躍るストーリーではないのだがなんか面白い。この後どういう展開が待っているんだろう。中巻へ。(長い!)2017/05/21
ケイトKATE
30
アメリカから伯父家族が住むイギリスへやって来たイザベル・アーチャーは、美しい容姿を備え教養も高い女性であった。それゆえに、イザベルに魅せられる男性も多く、身分が高く莫大な資産を持った男性からプロポーズを受ける。しかし、イザベルは自立心を持った女性で、結婚条件としては申し分のないにもかかわらず、次々と断ってしまう。物語自体あまり進まないが、ヘンリー・ジェイムズの小説の特徴は、登場人物の心の機微が細やかに描写している所である。私はヘンリー・ジェイムズの心理描写が好きで続きが読みたくなる。2024/12/15