出版社内容情報
一八五一年に発表されたメルヴィルの代表作.海の男エイハブ船長が,その乗組員とともに,太平洋の怪物“白鯨モゥビ・ディク”を追って船をめぐらし,ついにこれと凄惨な戦いを展開する雄壮な物語.海洋文学として世界最大の作品であり,また人間と運命との争いを象徴した文学として,近年非常に高く評価されている.
内容説明
“モービィ・ディック”との遭遇を前にして、エイハブ船長ひきいるピークオッド号の航海はつづく。ほかの捕鯨船との“出あい”を織りまぜながら、鯨と捕鯨に関する“百科全書的”な博識が、倦むことなく、衒学的なまでに次から次へと開陳されていく。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lily
152
ドキュメンタリー番組の「マグロに賭けた男たち」を連想してはいけない。ここまで鯨愛が深くなると、いきなり核心をみせるのは寂しい。鯨の生理学やら哲学やら優しく隅々まで愛でるよ。まずは単純接触効果が狙いなのだから。是非ロールモデルにしてもらいたいね。セミ鯨は生前ストア主義者でマッコウ鯨の晩年はスピノザを受け入れたプラトン主義者だったなんて言われたら、愛着を抱くでしょ?2019/08/29
はたっぴ
107
中巻に至っても鯨博士の講義は延々と続く。博物館を見学しているような専門的な解説にもだんだん慣れてきて、こんな巨体に襲われたらひとたまりもないな…などと恐怖を覚えながら読み進めた。聖書に登場する海の怪物〝レヴィヤタン〟になぞらえた辺りでは、白鯨(モービィ・ディック)に神秘性さえ感じてしまった。終盤になっても肝心の主には出逢えず、いつの間にか畏敬の念を抱きつつある。『老人と海』でサンチャゴ老人の独白が哲学書を読むように響いてきたが、本書で滔々と語られる蘊蓄もここまでくると哲学のようだ。【G1000】2017/05/14
ehirano1
102
肝心の「白鯨」が登場せず・・・。本巻は捕鯨や鯨の生態学などの学術的要素が大半で、それはそれで興味深いのですが、本筋(=人間と鯨≒神?)の闘いを待ち望む者としてはなんだかとってももどかしかったです。2023/04/23
榊原 香織
84
モービィ・ディックが日本の噴火湾で目撃された、と出てくる。え、北海道の?(故郷室蘭近辺の海)とうれしくなる。 が、訳注みると、駿河湾とかじゃないか、とある。今住んでる処だからそれでもいいんだけどw でも、北海道だと思います。クジラいっぱい来るし 上中下の中2021/09/04
南雲吾朗
69
鯨に対する愛情が深いことが凄く伝わる。鯨の構造についても詳細に書かれている(今では解釈が変わっているものもあるが)。捕鯨のことも詳しく描写しており、捕鯨という物自体を深く愛していることが伝わる。しかし、いまだ白鯨現れず…。下巻へ。2019/09/21