内容説明
スコットランドの孤島の別荘。哲学者ラムジー氏の妻と末息子は、闇夜に神秘的に明滅する灯台への旅を夢に描き、若い女性画家はそんな母子の姿をキャンバスに捉えようとするのだが―第一次大戦を背景に、微妙な意識の交錯と澄明なリリシズムを湛えた文体によって繊細に織り上げられた、去りゆく時代への清冽なレクイエム。
著者等紹介
ウルフ,ヴァージニア[ウルフ,ヴァージニア][Woolf,Virginia]
1882年1月25日、ロンドンのケンジントン区ハイド・パーク・ゲイト22番地で誕生。1915年『船出』出版。1925年傑作長篇『ダロウェイ夫人』出版。1941年3月28日自殺
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
242
情感豊かな心理小説である。 ほとんど どこにも行かない展開でありながら、 ラムジー夫人と それを取り巻く人々の 声は 目まぐるしく、重層に重なり合う。 人々のつぶやきに終始したこの作品… 八人の子を持つ ラムジー夫人の 充足した人生が 印象に残る展開だった。2017/10/15
ケイ
127
私からウルフへの親和性が低いようだ。視点の入れ替わりや切り替わりは見事であるが、感動ができない。入り込めないと言ったほうが適切か…。おそらく登場人物の考え方に感情移入ができないからだろう。うまい、素晴らしいと思うが、心があまり動かなかった。2016/09/14
ふう
118
灯台へ行く前の一日を丁寧に描いた400㌻だと勝手に思い込んでいたのですが、読み進めていくうちに、人や家族の時間はこんなふうに流れていくのだと静かな衝撃を受けました。そんな時代だったのでしょうか、人はこんなにもたくさんのことを深く思い、考えていたのですね。その思いや考えを表現する言葉や文の美しさと豊かさ。想像力が乏しく、なかなか入りこめない場面もありましたが、亡くなった人をずっと思い続け、反対に亡くなった人がずっと存在し続けることが印象的でした。2020/06/17
Kajitt22
91
スコットランドの孤島を舞台に、登場人物のたゆたう想念の描写で綴られる別荘での一日、そして十年後の一日。人々の思いはろうそくの炎のように揺らぎながら、絡み合い、すれ違い、時間をも飛び越え、あるいは消滅する。戦時下、突然の死者への思いは静かな悲しみに満ちている。めぐってくる灯台の三本のまっすぐな光は唯一の確かなものかもしれない。この作品でヴァージニア ウルフは自分のvisionをみつけたのだろうか。2017/11/29
ケイトKATE
88
『灯台へ』は、前作『ダロウェイ夫人』で書かれた意識の流れが更に洗練され、内面の言葉は美しい音楽ように奏でられる。また、それぞれの場面が映像を切り取り絵画作品を見るような感覚に誘う。何よりも、スコットランドの別荘で過ごしたささやかな一日が、ラムジー家の人々にとって幸せな時であり、もう二度と戻ってこない哀しみと喪失感が静かに伝わってくる。その悲しみを乗り越え、美しい時を絵として残そうとする画家のリリーに心を揺さぶられた。私にとってヴァージニア・ウルフの『灯台へ』は、かけがえのない読書体験が得られる一冊である。2021/03/31
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