出版社内容情報
暑熱去らぬ夏の夜道,「ロンドンに行きたい」と声をかけてきた白ずくめの女.絵画教師ハートライトは奇妙な予感に震えた-.発表と同時に一大ブームを巻き起こし社会現象にまでなったこの作品により,豊饒な英国ミステリの伝統が第一歩を踏み出した.ウィルキー・コリンズ(1824-89)の名を不朽のものにした傑作.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
210
中巻に入っても混迷は続く。 変な話だが、このミステリーは何が ポイントで犯罪はいつ起こるのか..そんなこと ばかり考えながら読んでいた。 一体何が起こっているのか、何が真実なのか? ローラを取り巻く殿方の 描写が辛辣なのは意図的なのだろうが.. 語り手を変えながら、視点を変えて読者を ミスリードさせる..最後は下巻を読まざるを 得ない終わり方で 著者の企みに嵌ったのだった。2016/07/09
のっち♬
121
ローラに付き添ってブラックウォーターパークで過ごすマリアンは、ローラの財産がパーシヴァル達に狙われていることを知る。本作も物語の進行と共に語り手が入れ替わる手法が用いられているのだが、他者視点で描かれる人物像と一人称の語りから浮き上がる人物像が何の違和感もなく符合する様は著者の人物描写がいかに卓越しているかを示している。その意味でも本作は彼の執筆活動における大きなハイライトだろう。敵役の伯爵にあっぱれと言わしめるマリアンの行動力がここでも話を盛り上げてゆく。成長したハートライトの手紙も希望を感じさせる。2018/06/12
セウテス
72
素晴らしい展開の面白さ、何よりだんだんと加速してくる構成はたまらない。パーシヴァル卿が婚約者である立場を主張して、ローラの財産の搾取を画策し始める。この時代の法律に言いたい文句は多々あるが、悪役の登場としてはパーシヴァル卿でムカつかせた後、満を持して現れるフォスコ伯爵の自信や知識、悪意そのものに恐怖すら覚える展開は、圧巻である。だんだんと明らかになってくる策略と、それと向き合い闘わねばならない女性陣の描きかたが巧く、思わず感情移入してしまう。白衣の女、ローラにそっくりの女性が、そろそろ気になるところです。2016/01/09
NAO
52
婚約者の権利と称して、相手の財産であろうと自分の都合のいいように扱おうと画策するローラの婚約者パーシヴァル卿。財産に関する当時の男女間格差には、女性として強い憤りを感じる。明らかに財産目当てのパーシヴァル卿に、彼以上に不気味なフォスコ伯爵が登場し、話はますます危険な雰囲気に。メフィストファレス的な圧倒的悪役と、必死で対抗しようとする淑女たちという最高の見せ場に、この終わり方!これはもう、下巻へ急ぐしかない。それにしても、あのローラにそっくりな謎の女性アンはどうなったのだろう。2015/12/25
みっぴー
50
《白衣の女2/3》じわりじわり忍び寄る魔の手。胡散臭いパーシヴァル卿の新妻となったローラですが、もう本当に気の毒でならない。若い女性が財産を持ってると、小説内ではろくなことがないです。卿の友人のフォスコ伯爵はひたすら気味が悪いし…白衣の女は、何やら卿を破滅させられるようなすんごい秘密を握っていて、ローラに教えようとするのですが妨害が入り、読み手はかなりムキー(`皿´)ってなります。ラスト、詰んでません?それともこれから巻き返すのか?下巻へ!2017/05/01