出版社内容情報
つねに個人を尊重し,寛容と豊かな想像力に基づくヒューマニズムの姿勢を貫いたフォースターが,広い視野に立って20世紀のイギリス社会と文学・芸術について発言する.フォースター理解の鍵といわれる「私の信条」や,出色のヴァージニア・ウルフ論など,抑制のきいたアイロニーを湛えた気どりのない文体による23篇.
内容説明
つねに個人を第一とし、寛容と豊かな想像力に基づく人間尊重の姿勢をつらぬいたフォースターが、広い視野から20世紀のイギリス社会と文学・芸術について発言する。フォースター理解の鍵とされる「私の信条」や、出色のヴァージニア・ウルフ論など、抑制のきいたアイロニーを湛えた気どりのない文体による23篇。
目次
マコルニアの買物
オリエントに敬礼!
無名ということ
私の森―財産と人間の性格
イギリス国民性覚書
イギリスにおける自由
文化の価値
私の信条
文化と自由
寛容の精神〔ほか〕
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
刳森伸一
5
評論や書評、エッセイなどを集めた著作集。誠実でありながらも厳しすぎない思想がユーモアを忘れない文体で軽やかに表出されている。個人主義やヒューマニズム、節度ある楽観主義など、そこに奇抜な表現はないが、傾聴に値する言葉で占められている。2019/02/07
たかさん
5
信頼は自然な心の温かさがなければ成り立たない。たいていの人には、この温かい心がある。とフォースターは語っている。 自分の過去には残念ながら冷えてしまったことがある。故に、前妻と別れることになってしまった。 全23編を彼の生き方、読書歴、作家論を授けるように逐一教え、解説してくれている。 『ヴァージニア・ウルフ』はこわくなくなるどころか、大接近させてくれる。 プルースト約10ページ、エリオット約14ページと比べると、彼女には約32ページを割いている。 2017/07/17
よしひろ
3
小説家でもあるフォースターの評論集。彼自身が書くような個人主義者でヒューマニストとしての、上質な文章が並んでいる。悲観的な諦念も顔を見せるのだが、それを踏まえた上での、ウイットに富んだ、穏やかな主張は、味わい深い。また、彼の友人でもあったヴァージニア・ウルフを論じた文章は、ウルフの魅力を十分に伝えており、ウルフの小説が好きな人はもちろん、そうでない人にも読んでもらいたい文章だ。2014/02/08
かしこ
2
冒頭のローマの博物館にある埋葬品の話からからとても軽やかで良かった。古代ローマの化粧道具入れは、お金持ちの夫人が結婚する娘の為に買い、娘が死んだ時に一緒に葬られたもの。その絵のテーマの説明も面白い。フォースターが想像したローマのお金持ちのお母さんは、まるでフォースターの英国小説に出てきそう。2020/05/07
もー子
1
フォースターのウルフ論は最高。親交もあったのと、ウルフの死後数ヶ月後というのもあるのだろうが、フォースターの優しさが溢れてます。2015/10/18
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- 和書
- 夢の歌