内容説明
父の目の前で自殺した息子。我が子の幻を求めてさすらう父。そこに息子の目に似た一匹の犬が…「ラビット君」、血が繋がっていなくとも祖父は孫に、彼の人生の象徴である傷ついた時計を贈った「時計の傷」、六十数年、胸に秘めていた恋情と美しい鯉との再会が織りなす話「眠る鯉」など、人の想いを彩る七つの短篇集。
著者等紹介
伊集院静[イジュウインシズカ]
昭和25(1950)年、山口県生れ。立教大学文学部日本文学科卒業。平成3年、「乳房」で第12回吉川英治文学新人賞受賞。4年、「受け月」で第107回直木賞受賞。6年、「機関車先生」で第7回柴田錬三郎賞、14年、「ごろごろ」で第36回吉川英治文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kasre
8
伊集院静さん 初読みです。7つの短篇集。それぞれに余韻が残り、心に留めておきたい言葉が数多くありました。静かで落ち着いた筆致の中に、時おり熱くほとばしるものを感じます。中でも 「時計の傷」 は印象深く、大人の男性の包容力に抱かれたようでした。生きるとは哀切が伴うけれど喜びもあるのだよと、弱くてもいいのだよと、そっと励まされました。この本と同時に刊行されたという「冬のはなびら」も読みたいです。2020/02/15
ねこ
3
7つの短編集。どの作品も亡くなった人がモチーフになっています。共感するものもあり、理解できないものもあり、でした。亡くなった息子の子(と思っていた)を養子にして大切に育てる夫婦の話『時計の傷』がじんわり良かったです。2019/12/15
よっしー
2
余韻がいい。2023/10/18
さざなみ
2
大活字本での読書。 素晴らしい短篇小説7編でした。 解説で短篇小説と長編小説では篇・編の字を使い分けることが解説されており今まで知らずに過ごしておりひとつ賢くなりました。2023/10/16
てつや
2
伊集院静と言えば、短編小説の名手。「ぼくのボールが君に届けば」など名作も多く、この短編集に含まれた各編もさすがにうまい。ただ、名手と言われる彼の作品集だけに、読むほうもハードルを上げて読んでしまうので、物足りなく感じてしまった。 ちょっと残念。2010/03/31
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