出版社内容情報
生きる目標を失った第一次大戦後のイギリス知識人階級の生活と精神状況を描くことで近代の合理主義思想と楽天的な進歩思想にたいする懐疑と絶望を表白した長篇小説.ハックスリ(一八九四‐一九六三)を大作家の列にくわえた彼の代表作であるばかりでなく,「絶望の一○年間」とよばれる一九二○年代イギリスの文学を代表する傑作である.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
124
ハクスリーの中では、非常に読みやすい。男女の関係や愛情について書いている。その変わっていく様を主に描いているのだと思う。2つの大戦の間のイギリスの窒息しそうな、倦怠漂う文学。好みの分野だが、難点は登場人物が多すぎること。上巻はそれでも勢いで読んだが、下巻でこんがらがる。一度ギブアップして、後日上巻から読み直す予定だが、その時は人物表を作りながらにしよう。2017/04/29
おこめ
1
北村薫『夜の蝉』の主人公が読んでいたらしい本。読みやすいけど、登場人物が多い。聖書の引用が多い。はじめての対位法にしては難しいものを読んでしまったな。下もある、どうしよう……2017/08/07
そう
1
北村薫「夜の蝉」と対位法関連で薦めていただいて読了。「私、イギリスっていわれて、すぐ浮かぶ小説家はオルダス・ハックスレーなんです。」『一目惚れということを私は信じたい。恋は感覚的なものだと思うからだ』の数行後に『勿論、恋までは行かない好意である。』と続ける<私>に何というか…胸がつまる。(「恋愛対位法」の感想は下巻で)2009/02/28