出版社内容情報
自分には凡庸な画才しかないと悟ったフィリップは,パリを去り,イギリスで医者になることを決意した.そんな彼の前にミルドレッドという女が姿を現す.美しいが傲慢な彼女に反発を感じたフィリップであったが…(全3冊)
内容説明
自分には凡庸な画才しかないと覚ったフィリップは、パリを去り、イギリスで医者になることを決意した。そんな彼の前に、ある日、ミルドレッドという女が姿を現す。美しいが傲慢な彼女に反発を感じながらも、フィリップは彼女の虜になってゆくのだった。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ykmmr (^_^)
131
牧師を脱し、フィリップは『芸術家』に目を向けてパリに出る。更に、才能の『壁』に悩み、今度はイギリスで医者を目指す。中途半端でありながらも、色々な事に橋渡し出来るのは優等生で器用な証拠か?その中で、画友のプライス、お互いに振り回し合うミルドレッドなどのレディースたちとも深く関わる。愛や芸術をカントの『哲学』で語り、人間の理不尽な執着に対する『問い』は?下巻へ…。 2023/01/27
のっち♬
120
画家としての凡庸さを自覚したフィリップは帰国して医者への道を歩む。印象派が頭角を表しつつある自由奔放なパリと階級社会の根深いロンドンは空気的に明瞭なコントラストをなしている。さて、ストーリー面で作中最も引き込まれる部分がミルドレッドとの駆け引きだろう。二人の女性の板挟みにおける意志薄弱ぶりや、傲慢なミルドレッドにどっぷり嵌まり込んでいく様子など、人間のどうしようもない弱さや脆さが容赦なく炙り出されている。更には愛情を注いでくれた伯母と画友の死。中巻のモチーフは期待と現実の落差に対する幻滅と失望と言えそう。2018/07/30
扉のこちら側
89
2016年725冊め。【205-2/G1000】中巻はでは恋愛に振り回されるフィリップ青年。この辺りはプルーストの風味もあって、決して振り向いてはくれないミルドレッドを追って縋って降り払われて…に、彼女のどこがそんなによいのかと首をかしげてしまう。恋は盲目か。現実にもこういうカップルは多そうだというリアル感はよくわかる。人間の見栄だとか、そういうところを変に美化しては描かない。下巻へ。2016/09/17
NAO
67
恋愛に翻弄される続ける中巻。読んでいて強く思ったのは、フィリップはコンプレックスを言い訳にして、実は女性のことを真剣に考えていないのではないかということだった。ノアにも指摘されていることだが、フィリップがミルドレッドに対してさえ、本当に真剣に考えていたのかどうか疑わしいところがある。ただ、彼の態度が決して他人を傷つけるようには働かなかったということが救いといえるだろうか。2017/07/11
みっぴー
47
中巻はひたすら恋愛に振り回されるフィリップ。ミルドレッドという女性、良いのは名前だけで吐き気がするほど嫌な女ですが、傷つけられると分かっていても彼女にかまってしまうフィリップが憐れでした。特にフィリップの自傷癖の凄まじさといったら。。。ミルドレッドと自分の男友達に自費で旅行させて、二人が楽しんでる姿を想像して身悶えているのだから、ちょっと引きますね……。ひたすら惨めな中巻。下巻では幸せを掴めるのでしょうか?2016/04/13