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岩波文庫
ハーディ短篇集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 376p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003224083
  • NDC分類 933
  • Cコード C0197

出版社内容情報

悲劇的宿命論者といわれてきたハーディ(1840-1928)だが,ユーモア,諧謔こそ彼の特質である.谷崎潤一郎が惚れこみ翻訳までした傑作「グリーブ家のバーバラ」,本邦初訳の散文詩「古代土塁での逢引き」等8篇を精選.

内容説明

悲劇的宿命論者といわれてきたハーディ(1840‐19228)だが、ユーモア、諧謔こそ彼の特質である。伝承的バラッドの響ただよう「帰らぬひと」、谷崎潤一郎が惚れこみ翻訳までした「グリーブ家のバーバラ」、本邦初訳の散文詩「古代土塁での逢引き」等8篇を精選。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

53
ハーディとはこんな作家だったのかと目を開かれた気分。ずっと、朧気に知っている作品の粗筋から、胸のふさがれるような気持になるのに違いないと思っていたのです。確かにこの短編集でも明るい結末を迎えるものはほぼないのですが、沈痛で悲惨なというよりは、ままならない世の中を見つめる諧謔的な視点のほうが際立っている印象で、良い意味で先入観を裏切られました。訳者は「古きハーディ観」を払拭するために、収録作について「それなりの心配りはしたつもり」と書いていますが、それは、こと自分に関しては成功したのではないかと感じます。2017/07/21

藤月はな(灯れ松明の火)

31
明治時代の広津流浪や泉鏡花の「夜行巡査」などの悲惨小説にも通じる人生の皮肉と悲惨を語る短篇集。「帰らぬ人」は皮肉めいたオチがより一層の悲壮感を募らせています。「グリーヴ家のバーバラ」は谷崎潤一郎が惚れ込んだ作品だそうですがこの作品は乱歩の「人でなしの恋」とワイルドの「ドリアン・グレイの肖像」のような作品で素敵でした。最後の一文のアイロニカルも悲壮感を一層、漂わせています。2012/11/26

noémi

20
文句なく面白い、小説として。夏日の晴れ上がった青空に潜む悲しみとでもいいましょうかね。そんなカラリと乾いたトーンがいい。今まで、短編はモーパッサンとかモームとか読んできて、どれも面白いな、ウマイな、と思っていたけど、ハーディも本当にいい。長編の「テス」とはまた、違った口調で。特に「グリーブ家のバーバラ」は谷崎潤一郎が惚れ込んで自ら和訳した、というだけあって絶品。短編は当然、落としどころ、帰着点を考えるものだが、それがさりげないけど、ひねりにひねってあって「ううむ」と呻らせられる。イギリスもの、最高やね。2012/09/02

空虚

15
真夜中、嵐、轟く雷鳴。二千年前に築かれた城砦の急斜面を一人登ってゆく「私」。戦へ赴かんとする往事の兵士たち、彼らの「生気」と興奮が今も辺りを支配し、空気を振るわせているかのよう。空想は膨らみ、いつしか風にのって声が届く。その幻視っぷりが漱石の『倫敦塔』を思わせる、『古代土塁での逢引き』が素晴らしい。 2016/05/15

白黒豆黄昏ぞんび

12
面白かった〜!こんなに古いお話になぜわたしが惹きつけられるのかといえば、やはりわたし自身がある面宿命論者であるからだろうな。「帰らぬ人」は以前、全集かなんかで読んだのだけど、皮肉も皮肉。しかしこのお話から学ぶことは多い。「グリーブ家のバーバラ」を元にしたであろう物語をいくつか挙げられる。装飾によって様々なジャンルに書きかえ可能です。谷崎訳でも読んでみたいところ。2012/08/18

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