岩波文庫<br> エゴイスト〈下〉

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岩波文庫
エゴイスト〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 459p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003223529
  • NDC分類 933

出版社内容情報

若くて美男子,名家の当主である主人公は全く自己中心的な人物で,女というものはむこうから自分を恋い慕うものときめこんでいる.一人の典型的なエゴイストを中心に男女の愛情の様々を描き,人間の諸悪の根源(と作者の信ずる)虚栄,うぬぼれ,利己心に強烈な光をあてる.機智に富む絢爛たる文章も見事に効果をあげている.

内容説明

人間の虚栄やうぬぼれに「喜劇精神」の光をあて、そのこっけいな姿に明るい笑いをあびせるメレディスの傑作。初期の漱石に影響を与えたといわれる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

123
なんだかんだの喜劇。なんとなく予想がつくから途中の伏線も安心して読める。途中から思い出したのはシェイクスピアの「から騒ぎ(Much Ado About Nothing)」内容はもちろん違うけれど、男女が出てきて、あれやこれやの喜劇。最後の一行も吹き出すほど面白い。小難しい序文の最後がこれだから警戒してしまったのに「おのれを愛せしばかりにおのれを滅ぼせり もしこの一句がまだわれらの文学に存在しないならば、これをこのエゴイストの墓碑銘としよう」2017/03/02

NAO

79
【月イチテーマ 愛】誰にだってその人個人の感情があるということをまったく考えもしないウィロビーの言動には驚くばかりだ。自由と自立を大切にするクレアラの考え方はウィロビーを変えることはできなかったが、ウィロビーの熱烈な支持者であるリテシアを感化させ、クレアラには感化されなかったウィロビーもリテシアの言うことはきくようになるという関係性がおもしろい。賢くなったリテシアは、ウィロビーに盲目的に服従するのではなく、上手に彼を導いていくことだろう。2020/10/16

やいっち

26
読了しての感想は……。これまで折々呟いたように、ほとんど同じような愚痴っぽいものになる。  ギリシャローマの古典や聖書、シェイクスピアなどの古典への素養が必要なこともあるが、とにかく持って回った言い草が延々と続く。もう、うんざりである。それでも、最後まで読ませてしまうのだから、メレディスの筆力やおそるべしである。  手に取って、しかも、最後まで読み切っても、悔いはないが、苦労したなーという感想が一番。2017/11/12

shinano

14
現代の日本の男女の感覚からはなんともイライラする会話のやりとりの世界である。あまりにもきちんとものを言わない世界での美徳化とそれを強いることでの自己矛盾を自己弁護での解決に舵をとっているのに気持ちも悪くなる。そうことが19世紀イギリスの上流階級の社交であったことの歴史と風潮だったことが学びとなる。作品中女性の本心の言わなさに現代女性はさぞ腹立ちを覚えるのではなかろうか。作者の思惑である、会話での比喩による言葉遊びに、男女共通の機知を表すのに読んでいて、ときどき脳に筋肉痛を起こさせる。漱石太鼓判作品を納得。2019/07/21

きりぱい

5
エゴイストがエゴイストの何たるかを説くなかば喜劇。気持ちを押し付け、結婚を迫る必死さがいやなのに、断られ続けると気の毒にもなってくる。舞台も設定も狭くて、ひたすらエゴイストっぷりが続くのに、ちらっと生っぽい心情が覗いたり、女性陣の心の変化や成長が見えたりと、どんな結末を迎えるのかとなかなか楽しめた。2009/09/12

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