出版社内容情報
若くて美男子,名家の当主である主人公は全く自己中心的な人物で,女というものはむこうから自分を恋い慕うものときめこんでいる.一人の典型的なエゴイストを中心に男女の愛情の様々を描き,人間の諸悪の根源(と作者の信ずる)虚栄,うぬぼれ,利己心に強烈な光をあてる.機智に富む絢爛たる文章も見事に効果をあげている.
内容説明
名家の当主で若くて美男、しかしうぬぼれの強すぎるサー・ウィロビー。求婚する女性に次々とふられる彼の結婚の顛末は?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケイ
129
前書きがやたらと理屈っぽいというか、御託を並べていると言うか、わかりにくい。なんども読んだり戻ったり…。なのに本文に入ったら、面白くてやめられない。この作品の序文で躓きそうな方は、もうそこはすっ飛ばしていきなり本文を読むことをお勧めする。エゴイストは、なぜエゴイストなのか。本人にその自覚がないのがまず一番厄介だ。しかも、本人が憎めないような人の場合は。お金があって、見栄えが良く、特に素晴らしい脚をした男なら引くてあまたなのに…。彼を取り巻く女性陣の理屈がまた面白い。感想は下巻に。2017/03/02
NAO
83
【月イチテーマ 愛】ウィロビーは、美男子で、名門貴族としてちやほやされて育った。最初の婚約者に逃げられた時点では、読者にはウィロビーのエゴイストぶりはまだそれほど示されてはいないが、新たな女性を見つけてから、ウィロビーのエゴイストぶりが顕著になっていく。一見謙虚そうでありながら、巧みな話術と押しの強さですべてを自分の思い通りにせずにはいられない。彼の感覚があまりにも現実離れしていることに驚かされるが、エゴイストとは、そんなもののか。婚約解消にむけて動きはじめるクレアラに応援したくなる。 2020/10/15
やいっち
21
なんとか上巻を読み終えたが、覚悟していた以上に難儀な読書となってしまった。内容自体は、内容案内通りだが、メレディスの晦渋な叙述が行く手を阻む。比喩や譬えがバイロンなどの古典などを土台にしているのはもちろんだが、説明の仕方が、少しは小説の読書体験のある自分にも、前例のないもの。 小説の中身は面白いので、間を置くことなく下巻へと突入。2017/11/03
shinano
16
なるほど、夏目漱石の「三四郎」美禰子、「虞美人草」藤尾がこの本の影響があったというのが見えてくる。 漱石先生のは女性にエゴイストを応用していて男女をひっくりかえしてはいる。この本の登場人物何人かに、エゴイストの尋常じゃない濃さと、ふつうにひとならば誰しもがもっている範囲のエゴ、自負心、虚栄心が多分に描かれているのも、近代小説としての心理動向描写を読者に“読ませる”ものであることを知る。 ただ、譬喩(暗喩、揶揄)のくどさと著者が意図的に分かりにくさを書いているのも“エゴイスト”的で苦労する読み物だ。2019/07/06
クレメンタイン
1
ジョージ メレディスの喜劇。2016/02/20