出版社内容情報
生まれて間もなく両親を失ったジェイン・エアは,冷酷な伯母に育てられる.十八歳になり,家庭教師にやとわれた彼女は,その家の主人に魅かれ身分のちがいをこえて結婚しようとするが,彼には発狂した妻がいることがわかり,絶望のうちにさすらいの旅にでる.……シャーロット・ブロンテ(一八一六‐五五)が情熱をこめて描いた自伝的小説.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ほりん
32
心の声を懸命に聞き取り、正直に真っ直ぐに生きようとするジェイン。彼女のひたむきさと、生きる力に感銘を受けた。それにしても、古本で買った1957年版の岩波文庫、表紙に書かれたあらすじに、クライマックスの場面が暴露されていて、びっくり。ここまで書かなくても・・・と思った。訳が少々読みにくく、何度か読み直した部分があるが、丁寧な言葉づかいが優雅で、昔のイギリス貴族の雰囲気を味わえたように思う。充実した時間を過ごせた。2019/09/01
藤月はな(灯れ松明の火)
9
この巻でオリエンタリズムの片鱗が垣間見れました。兄のような存在だと思っていた聖ジョンにインドへの布教を手伝ってくれる妻として求婚されたジェインが断りつつも助手としてなら手伝いたいという気持ちに「ジェイン、それだとジョンに勘違いされるよ!」とハラハラしてしまいました。ジョンは信仰心の厚いいい人なんだけれども打算もあるからね・・・。恋愛ものは好きではないのですがこの本は素敵なラブ・ロマンスでした。「淑女たれ」と価値観を押し付けられる時代に居心地の悪さを感じていた婦女子はこの本を読んで救われたのかなと思います。2011/11/24
shiaruvy
5
★4 [2002.09.05 37刷] 妹のが幻想小説なら姉は現実的な少女成長小説。もう少し主人公を美人にしてあげたら..と。 すんごい姉妹が居たもんだと思う。 2013/03/11
まるちゃん
3
1846年出版(1924年版の1957年訳)。当時の生活文化や社会的偏見は描かれているものの、いまに通じる内容の斬新さ。絶望のもと自然のなかを徘徊する3日間。ここに最も自分を重ねてみた・・・。解説に「克明緻密な自然描写の美妙さ」とあるが、まさにそのとおり。映画ではどのように描かれているのかみてみたい。下巻に登場する人物はいずれの人も魅力的。「独りを慎むの精神」をもった人ばかりである。2012/11/27
秋津
2
上巻の「ソーンフィールド荘」に行くまでの話が、ジェインが生き生きとしていて面白かった。ブロンテ姉妹では「嵐が丘」のほうが好み。2012/11/03