出版社内容情報
ブラウニングとともに英国ヴィクトリア朝の詩壇を代表する,桂冠詩人テニスン(1809-92).『イン・メモリアム』『国王牧歌』等,韻律美に裏うちされた膨大な詩の中から,そのエッセンスともいうべき最良の部分を厳選して収録.
内容説明
ブラウニングとともに英国ヴィクトリア朝の詩壇を代表し、ワーズワスのあとを継いで桂冠詩人となったテニスン(1809‐92)。『イン・メモリアム』『モード』『国王牧歌』など、韻律美にうらうちされた膨大な詩の中から、そのエッセンスを厳選して収録。原詩との対訳形式で、テニスンの詩の魅力を存分に味わえる1冊。
目次
クラリベル
マリアナ
シャロット姫
イノーニー
安逸の人々
ユリシーズ
ティソウナス
砕け、砕けよ、砕け散れ
『王女』よりソング抜粋
『イン・メモリアム』より
鷲
『モード』より
『国王牧歌』より「アーサーの死」
塀の割れ目に咲き出た花よ
砂州を越えて
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
松本直哉
24
ホメロスに想を得た「ユリシーズ」「安逸の人々」のうち前者は、冒険の果てに故郷にたどり着いたユリシーズが「新しい世界」を求めて再び旅しようとする。もう若くないのに何をいまさら。旅中毒あるいは仕事中毒。しかも出征中20年操を守った妻ペネロペには感謝の一言もなく、こんなことなら彼女はは浮気をしてもよかったのではと思いたくなるほど。後者は原作に近く、帰り道に寄った島が居心地がよすぎて帰りたくなくなる、帰宅恐怖症の男たち。ヴィクトリア時代の、あるいは現代の、家庭を顧みないわがままな男の二大典型を見るかのようだった。2018/08/23
風に吹かれて
17
テニスンの詩のエッセンス集。 全12巻の『国王牧歌』からは最終巻「アーサーの死」収録。自分の死を潔く迎えようとするアーサー王の姿に感動である。人生への潔さは、テニスン晩年の『砂州を超えて』にも見られるように思う。『イン・メモリアム』は若くして亡くなった親友ハラムを偲ぶ長詩。年末から年始にかけての鐘の音に自分の志を託し高みを目指すテニスンは使徒の心にキリストが復活するようにハラムの復活を願う。 テニスンの言葉は、世界を広げる。 2022/01/13
tsu55
10
ビクトリア朝の桂冠詩人、テニスンの訳詩集。 本の作りは左ページに英文。右ページに訳文。そして脚注と、至れり尽くせり。2018/05/18
歩月るな
7
テニスン卿。数多の作品の印象が強く残る中『アーサーの死』のド円卓っぷり。『イン・メモリアル』「友情そして追慕哀惜の情の、相手を神格化(apotheosis)する過程が明確に示されている」「淀みなく展開される詩人の悟入の境地の、自然なる発露」「相矛盾する語の同一化という、悟入の世界に到達しえたがゆえの言句」遠きにありて近し、故に遍在すなわち神格化、中々ふわふわしてる。詩人としての悟入。難しい。1830年のハラムとのスペイン旅行は王政転覆への加勢のためとは中々の若さ。ヴィクトリア朝そのものな興味深い生涯詩人。2017/08/25
おじ
6
007の上司Mがユリシーズの詩を引用していたので気になり図書館行ったら普通にあった。そういや外国だと偉い人がスピーチの時によく詩を引用したりするけど、日本じゃそういったことはあまり見られないな・・・2015/12/09