出版社内容情報
「一敗地に塗れたからといって,それがどうしたというのだ? すべてが失われたわけではない.」かつては神にめでられし大天使,今は反逆のとが故に暗黒の淵におとされたサタンは,麾下の堕天使の軍勢にむかってこう叱咤激励する.神への復讐はいかにして果さるべきか――.イギリス文学の最高峰というにふさわしい長篇叙事詩.
内容説明
「一敗地に塗れたからといって、それがどうしたというのだ?すべてが失われたわけではない」かつては神にめでられた大天使、今は反逆のとが故に暗黒の淵におとされたサタンは、麾下の堕天使の軍勢にむかってこう叱咤激励する。神への復讐はいかにして果さるべきか―。イギリス文学の最高峰に位する大長篇叙事詩の格調高く読みやすい現代語訳。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
99
テーマ性からか、観たいと思っている映画『エイリアン:コヴェンナント』が元々は『パラダイス・ロスト』という題名を予定していたと町山智浩氏の紹介で知り、元ネタを読みました。傲慢さから神に叛逆するも失敗に終わったサタン。神への最も屈辱的な復讐を望むサタンが考えついたのが、神が愛する「人間」を反抗させ、不完全な存在に貶める事だった。個人的に衝撃的だったのは、叛逆前のサタンと近親相姦で契ったため、地獄で我が子「死」に足元を中心に引裂かれながら産み続けなければならなくなった「罪」の姿。2017/07/26
優希
99
面白かったです。旧約聖書の創世記から題材を取り描いた一大叙事詩。かつては神の目に留まっていた大天使サタンが反逆のために暗黒へと堕落した様子が生き生きと描かれていました。サタンの巧みな弁論、美しい楽園の世界は天地の様子の想像力を駆り立てます。悪魔と天使の戦いを描く様子はまさに大スペクタル。おそらく著者がサタンの立場であるのか、サタンを肯定的に見ているのが意外なところです。下巻も読みます。2016/01/22
HANA
74
聖書を基にした長編詩。なのだが、これどう見てもサタンが主人公。「一敗地に塗れたからといって,それがどうしたというのだ? すべてが失われたわけではない」「天国の奴隷であるよりは地獄の主人で」とか、その誇りある敗者ぶりが兎に角格好いいのである。比して天界側は傲慢として如何にも旧約の神といった様子で、展開がどうも退屈。堕天使も人間も自由意志といったものが協調されて、当時の思想界の潮流にも興味が湧いてきたし。注釈も細部まで詳しく解説されており、内容を理解する手助けになる。大砲が悪魔の発明って初めて知ったし。2019/03/14
優希
56
壮大な一大叙事詩だと思いました。かつては神に愛でられていた大天使サタンが叛逆のため、暗黒へと堕落した様子が描かれます。神への復讐はいかにしてなされるかが興味深いです。下巻も読みます。2022/01/11
優希
49
再読です。神に叛逆したことで暗黒に堕されたサタン。そこから始まる神への叛逆の物語が繰り広げられていました。罪と罰の物語と言っても良いでしょう。有名なアダムとイブの件など、ここからどう展開していくのかが楽しみです。下巻も読みます。2024/04/10