出版社内容情報
花ほころび,そよ風吹きそめる四月のある日,身分も職業もさまざまな二九人の巡礼がサザークの旅籠に顔を合せた.当時のイギリス社会の縮図というべき顔ぶれが,カンタベリーへの道中,順番に話をすることになって…….中世イギリス最大の詩人チョーサー(一三四〇頃―一四〇〇)の代表作.バーン=ジョーンズの端整な挿画を収載.
内容説明
花ほころび、そよ風吹きそめる四月、サザークの旅籠で出合った二九人の巡礼たち。身分も職業もさまざまな彼らが、カンタベリーへの道中、順番に話をすることになって―中世イギリス最大の詩人チョーサーの代表作。バーン=ジョーンズの挿画を収録。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
67
挿絵目的で購入。中世的な習慣と自己意識の芽生えがある14世紀イギリスで書かれた本書はカンタベリーへの道中、職業や身分の異なる29人が話をするという物語で騎士の話と粉屋の話が印象に残る。バーン・ジョーンズの挿絵が見応えあり。2023/04/08
syaori
32
時は春。カンタベリーへ巡礼に行く一団が街道を馬でゆっくり進んでいきます。街道の脇には恐らく春の花が咲いていて、そんななかを旅のつれづれをなぐさめるために一人ずつ物語を語っていくという何とも魅力的な始まり方。もちろん随所に英国っぽい皮肉も効いていますが、それもスパイスになって楽しいです。上巻は様々な身分・階級の巡礼たちの紹介と、騎士に粉屋、弁護士などが語る物語。上品で高潔な物語からたくましい庶民の物語まで、この巻だけでもバラエティに富んでいます。これからどんな物語が語られるのでしょう。楽しみです。2016/07/01
Bashlier
14
3/5 古典の代表作に取り組もう!と肩に力が入った状態で読み始めたが、実際には肩の力が抜けていくような内容だ。小難しい話は一切なく、雑談がずっと流れているイメージ。時代背景を想像しながら、このような作品を当時の人々がどのように楽しんだのかを想像しながら読み進めた。2017/10/23
roughfractus02
11
14-15世紀に渡ったフランス人王朝の内戦である百年戦争は、イングランドに国家的自立の意志を目覚めさせたという。外交使節としてイタリアへ渡航した作者はペトラルカに出会い、ダンテやボッカッチョのイタリア語著作に触れ、フランス語『薔薇物語』を英訳し、自らも中世英語で本書を書いた。聖なる騎士物語と俗なる粉屋の下世話話(ファブリオ)から始まる本書は、『デカメロン』の枠物語を借り、各語り手の属する階層を縦断しつつ英語の多様さを記すために、彼らの個性を際立たせて読みやすくして、英語の国語化を促すほど版を重ねたという。2019/10/15
よつか
11
巡礼者たちが旅の道中で物語をする、という体で進行する短編集。話の内容は粒ぞろいで、高貴な騎士の決闘から若妻と学生の不倫話まで収めています。語り手によって作品の雰囲気が全く異なり、思わず同じ作者が書いているのを忘れてしまうぐらいでした。上巻は騎士、粉屋、家扶、料理人、弁護士の話を収録。2013/12/29