出版社内容情報
二世紀中頃の作で,代表的なラテン小説.人間がロバに姿を変えてさまざまな経験をする物語なので,いつとなく『黄金のろば』といわれるようになった.ロバから見ると人間はむしろロバ以上に間がぬけていることを面白く語り,世相の描写に種々の問題を提供する.『愛とこころ』(クピードとプシケエの物語)は本書の一部.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
misui
3
世界最古の小説といえばサテュリコン、長編なら源氏物語とかいろいろな説があるが、ともあれこのあたりが妥当なところなんでは。いやこれは大層面白かった。艶笑譚かと思えばどうもそれに留まらない暗さがあるしボッカチオやドン・キホーテへと通じるところもある。最後のほうちょっと神話に流れてしまったけど下巻でまた最初の頃の暗いエロ話みたいなのが持ち直すといいな。2021/03/08
ケイスケ
1
黄金のろばはローマ時代の文章。ロバに変身したルキウスが色々なところに転々とし、人間の生活を垣間見る。 古い文章ながらも、内容は色褪せないものである。そこには人間というテーマがあり、時代を超えても人間は変わらないものだと思わせる。2020/11/29
ゆ
0
2世紀頃とかなり昔に書かれた小説にも関わらず、現代人が読んでもすこぶる面白い物語だった。アプレイウスの詩的な感性で綴られる文章は、読者の頭の中に古代ローマを鮮やかに再現させてくれる。ある程度ギリシャ・ローマ神話をかじってから読むのがスムーズで深みのある読書体験になると思うが、ある種の冒険物や軽いエログロ的な(良い意味で)俗っぽい面白さもあるので、あまり身構えずとも楽しめる話だと思う。下巻も楽しみ。2024/12/14
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