出版社内容情報
作者晩年の喜劇の傾向を示した作で,社会思想への諷刺を含む.現実には社会的地位のはなはだ低かったアテナイ婦人たちが,「女大将」プラクサゴラの策により男装して議場に忍び込み,政権を男の手から奪い,完全な共産制と婦人の共有とを決議する.空前の新制度の実施によって人間の弱点が滑稽かつ皮肉に暴露されてゆく.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ホームズ
9
感じが古いので読むのにはかなり苦労した。斧が足りとしてもやはりあまり面白味は無いのかな。『女の平和』でもそうだったけどギリシア人は性に対して結構オープンな感じだったんですね~。2012/09/02
壱萬参仟縁
8
前置き→台詞→註釋→後記の順。「いざやいざ」(75頁他)を歌う台詞は、朝とか、気分が沈んだときに発する言葉なのかもな。そうすると、元気が湧いてきそうだ。「いざやいざ」! 受験生が気合を入れる際にも有効であろう。125頁の註釋最終行にあるように、ギリシア人は地震が神意に基くものとして、これが起ると遠征軍を班したり、民會を中止したりした(次頁まで)。後記によると、民衆は悲喜劇の舞臺の上から色々の新しい思想を教えられた(186頁)という。文化経済学も舞台芸術のチケット代金や芸術家の所得問題が原点。舞台の大切さ。2014/01/29
はる
7
アテナイの市民社会を潤した観劇。年に数日、午前に悲劇、午後に喜劇を無料で市民に提供していた国家的行事。その行事に参戦したアリストパネス後期の喜劇は、女が政権を握るどんでん返しの日常。財産は共有、男からのすれば女は共有。女からすれば男は共有。十部族から籤を引いた50人の五百人評議会を男装のプルクサゴスが領導、そんなアテナイ実現した。民会参議は市民の義務。ぶらぶらしてる者は公共奴隷の赤い縄にしょっ引かれ強制される。なかなかの民主政!義務ですから。でも、市民って男だけ。観劇も男だけ?少し異常。少し唸った。2025/03/04
ホームズ
4
『雲』よりはわかりやすかったけど『女の平和』ほど面白くは無かったかな(笑)最初の展開としては面白かったけど後半が少し・・・。ギリシア世界では男も女も「性」って大切だったんですね〜(笑)漢字が古くて読むのに苦労はした。2010/06/03
鵜殿篤
3
「富」と並んで「女性」をも共有の対象となっていることは、興味深いところではある。思い返してみれば、ホメロスの叙事詩に端的に見られるように、古代ギリシアでは「女性」こそが所有すべき第一の対象物であった。男たちは、金よりも土地よりも、女性を争奪するために命を賭けたのだった。本書はホメロスの時代からはるかに下っているけれども、女性を「所有すべき対象」と見るという視点は明確に引き継がれている。「女性をモノとして扱う」という観念の源泉を考えるとき、本書は有力なサンプルのひとつになるだろうと思った次第。2020/01/06