岩波文庫<br> バッカイ―バッコスに憑かれた女たち

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岩波文庫
バッカイ―バッコスに憑かれた女たち

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  • サイズ 文庫判/ページ数 233p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003210635
  • NDC分類 991
  • Cコード C0198

内容説明

「それ行けバッカイ、行けバッカイ」。木ヅタの冠、皮の衣、からだに蛇を巻きつけて、女たちは家を飛び出し山野を疾走する。「小賢しいことは知恵ではない」―陶酔と理性、自然と人智のはざまで、優しく恐ろしい神ディオニューソスと人間の直接対決がはじまる。ギリシャ三大悲劇詩人エウリーピデースの遺作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

魚京童!

19
バッコス、酒の神の話だと思ったらまー酩酊状態の話。集団倒錯か。真面目に生きるって大変だしな。何が幸せかわかんねーな。2017/04/02

パラ野

19
新訳の評判がいいですが、ちくま文庫に収められてる作品で。エウリピデスはアポロン的な方法で悲劇を書き残したので、他の作者と比べると、やっぱり理屈っぽい台詞回しですが、割りと人智では測れないが故に起こる悲劇のダイナミズムが楽しめる作品。冒頭からカドモスとテイレシアスが楽しそうにバッコスの祭りに行き、ペンテウスは信女を捕らえたり、酒を飲んで乱れてる祭祀を見たがってバッコスに女装させられたりしますが、この辺り、バトラーが論文にしてくれないかと思った。神の前に正しく立ち敬うことの難しさよ。2015/05/19

N島

18
ビアフェス会場で酩酊しながら読ませていただきました。 ディオニューソス神話を題材にしたギリシャ悲劇の代表作。 人智を超えた神の所業に、古代ギリシャ人が共有していたであろう、闇の深さを垣間見たような気がいたしました。 人間の理性を『小賢しいこと』と嘲笑い、ありのままの世界がもたらす『狂奔』に軍配を上げる。 古い信仰の有り様に戦慄を覚えながらも、心引かれる自分がいるのも否定は出来ないわけで…。 バッカイを覗き見しようとしたペンテウスの気持ちが、痛いほど良くわかります。2015/09/05

ゆとにー

15
ディオニュソスを冒涜したテーバイの王ペンテウスが、同じく神を認めなかった事でバッカイと化した母アガウエーによって素手で八裂きにされる。小賢しい理知と欺瞞的な道徳に歯向かってディオニュソス的なものを対置したニーチェが、ソクラテス的理知主義によって悲劇を殺した張本人であると非難するのがこのエウリピデース。彼の描くディオニュソス劇にニーチェは満足するだろうか。小賢しい知恵に驕ることは劇中に幾度も否定されるが、物語は整合的に配置され、ペンテウスの死に謂れのない要素は絡まず、神的権能の発動に不条理さは伴わない。2019/09/30

壱萬弐仟縁

15
不幸とは、轡(くつわ)をはずした口舌と 放縦にまかせた無分別の 行き着く先のこと(52頁)。饒舌もまた、記憶に残る者には残るので、曲者だな。老いとは人を気難しくさせ、顔に不機嫌を浮かべさせるもの(118頁)。私も中年だが、既に老人だな(苦笑)。神話とはいえ、この饒舌や不機嫌には双方とも今の評者の症状なので、注意しなければならないな。暑さでいかれたのかもしれない。2013/08/17

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