出版社内容情報
本書は11世紀にあらわれたインド文学史上最大の説話文学集であり,「ウダヤナ王行状記」と「ナラヴァーハナダッタ行状記」を全篇の枠とし,その中にあらゆる源泉から流れ出た物語の大小の河川が流れこんでいる.まさしく物語(カター)の河川(サリット)が注いだ一大海岸(サーガラ)であり,中世ヨーロッパの寓話,説話の源泉でもある.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
NAO
61
ムーリンガダッタ王子が、侍臣が見た夢を正夢にするために冒険に出る物語。竜の剣を奪おうとして逆に呪いをかけられ、バラバラにされてしまった王子と侍臣たちが、それぞれに冒険し、再会していく。夢に出てきたヴェーターラは屍肉を喰らう怪物で挿入説話の中でそのおぞましさが生々しく描かれているが、あることをすると祝福を与えてくれるという異色の存在。このヴェーターラについては、『ヴェーターラ25物語』というのもあるそうだ。2020/04/30
迦陵頻之急
1
本巻は王女を娶るために旅に出た王子の冒険譚が主筋。王子とその従者が旅路で遭遇する事件が膨大な説話として次々に挿入される。目立つのは「屍鬼」にまつわるエピソード。東洋文庫で読んだ「屍鬼二十五話」も本巻の説話に含まれている挿話群だが、本書では割愛されている。死体を依り代として悪霊を呼び出す呪法で、死体に血を塗り付け、人間の脂肪で灯をともし、人骨の粉末で曼荼羅を描くという、ちょっと真言密教の異端のような、怪奇趣味満載の情景が描かれる。それにしてもこの説話集、これでもほんの部分訳で、巨大な全貌は想像もつかない。2026/03/23




