出版社内容情報
「人よく菜根を咬みえば,則ち百事なすべし」.菜根は堅くて筋が多い,これをかみしめてこそものの真の味わいがわかる.明代末期に三教(儒仏道)兼修の士洪自誠が自身の人生体験を基にかみしめて味わうべき人生の哲理を簡潔な語録の形に著わした.本文庫版には注に解説に校注者の研究水準の高さが充分に盛り込まれている.
内容説明
「人よく菜根を咬みえば、則ち百事なすべし」。菜根は堅くて筋が多い、これをかみしめてこそ、ものの真の味わいがわかる。中国明代の末期に儒・仏・道の三教を兼修した洪自誠が、自身の人生体験を基に、深くかみしめて味わうべき人生の哲理を簡潔な語録の形に著わした。的確な読み下し、平易な訳文。更に多年研究の成果は注と解説にも充分に盛りこまれている。
目次
道徳に棲守する者は
世を渉ること浅ければ
君子の心事は
勢利紛華は
耳中、常に耳に逆うの言を
疾風怒雨には
〓肥辛甘は真味にあらず
天地は寂然として動かずして
夜深く人静まれるとき
恩裡に由来害を生ず〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
47
心が曇ったなと思ったら読んでほしい「鏡」としての本。名誉や欲に囚われず、自分が為すべきことを為す。人を侮ることなく、尊敬の念を持って人に接する。過ぎたるは及ばざるがごとし。簡単なようでいて実際に生活で行動しようとすると難しい。でも忘れてもいけないことが綴られています。個人的には「自然を愛でる心を忘れないこと」という項目が一番、胸にストンと落ち、「寺は欲に溺れ、堕落した人間が最後に行く所なので悪徳がいつまでも無くならない」という項目に吃驚しました。2015/01/20
金吾
43
どう生きていくのかを静かに記しているような本です。良いことが書いており、そりゃそうだろうと思いながらも実行はできないなあと感じました。ふと空いた時間にパラパラと読むのに良いように感じました。2023/10/16
スプーン
42
中国の賢者による人生処世訓。ゲーテやラ・ロシュフコー並みの鋭い教え。まさしく東洋の知恵袋。2019/05/26
wiki
36
「譚、菜根を以て名づく。固より清苦歴練の中より来たり、また栽培灌漑の裡より得たり。その風波に顛頓し険阻を備嘗せること、想うべし」ーー前段に曰く、苦労人の言だから信頼できると。人生の、時に理不尽な苦難に呻吟した経験より錬成されたる思想と生き様の文章。「楽処の楽は真楽にあらず、苦中に楽しみ来たりて、纔に心体の真機を見る」「人を信ずる者は、人未だ必ずしも尽くは誠ならざるも、己は則ち独り誠なり」。いかに不遇であろうと、騙されようと、自己を見つめ、自己に恥なき人間精神の崇高たるや。その強靭な雑草魂に心打たれる良書。2023/02/03
Gotoran
33
中国古典に学ぶ人生処世術、生き方。繰り返し読んで行きたい、素直に、愚直に。2010/11/20