出版社内容情報
近代詩の彗星、八木重吉(1898-1927)。残された珠玉の詩篇には、生きることへの愛しみと哀しみが満ちている。愛と祈りの詩人を一冊に編む。キリスト教詩人とされる八木は、特定の宗派を超えて受け入れられている。人間の内奥にある普遍的なものが、読む者に働きかけている。霊性と言葉の交響を明らかにする。
内容説明
わたしの詩よつひにひとつの称名であれ―29歳で翔け去った近代詩の彗星、八木重吉(1898‐1927)。珠玉の詩は、生きること、在ることへの愛しみとかなしみに満ちている。人間の内奥にある霊性が、読む者にはたらきかけてくる。2詩集『秋の瞳』『貧しき信徒』と、残された多くの「詩稿」、キーツ、ブレイクの「訳詩」から精選する。
目次
詩集 秋の瞳(息を殺せ;白い枝 ほか)
詩集 貧しき信徒(母の瞳;お月見 ほか)
詩稿(詩集 丘をよぢる白い路;詩集 鳩がとぶ ほか)
訳詩(訳詩 ジョン・キーツ;ブレーク『無心の歌』)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
43
夭折の詩人、八木重吉氏。彼が残した詩は偉大なる詩達達への敬意、神への信仰心、この世界での一瞬を切り取った美しさ、それに対峙する誠実さ、憧れと憤り、渦巻く感情すらも端正に詠っている。たった一行で構成される無題シリーズでもその感受性のエッジが尖り過ぎてたじろぐ程。一方ですくすくと成長していく愛娘、桃子への慈しみと自分の命運を悟っているが為に一緒にいられない事への哀しみに胸を打たれる。2025/05/02
どら猫さとっち
9
29歳でこの世を去り、生きることと在ることの愛しみや悲しみ、苦しみを詩に綴った八木重吉。彼の詩のすべてが、本書に詰まっている。わずか一行でも、その世界が見えてくるのは、詩人の技と言えようか。硬質な文体、そのなかにあるさまざまな感情、情景。そのひとつひとつが刺さる。今まで彼の存在さえ知らなかったが、岩波文庫で刊行されたのは、幸運なことだった。感謝したい。2025/04/21
武ザワ
1
詩を読んでいると、遠藤周作の『おバカさん』を思い出す。「自分の弱さを背負いながら、一生懸命美しく生きようとするのは立派だよ」八木重吉もまた、弱さを受け入れながら、美しいものを求めて一生懸命生きた詩人だろう。 読んでいると、自分でも書けそうだと思える詩もあったが、何回も繰り返し読んでいると、重吉の優れた観察眼と感受性に圧倒されてしまいそうになった。 「きずついた手と きずついたこころをよせて ふたたびあたたかく抱き合わうではありませんか」この一節は、人とのつながりが薄くなった今の時代に必要な言葉だと感じる。2025/02/17
必殺!パート仕事人
0
集中力が続かないので詩でもと思いましたが、目が滑るばかりできっと何も覚えていないでしょう。作品ではなく重吉が29歳で亡くなるまでの生き方に関心を持ちました。恋愛結婚だったこととか、結婚後、5年ほどで亡くなってしまったこととか。つまりは、本人より小さな子を残された奥さんの身になったということでしょうか。 2025/04/12
葛
0
2025年2月14日第1刷発行 著者:八木重吉 編者:若松英輔 発行者:坂本政謙 発行所:株式会社岩波書店 印刷:三陽社 カバー:精興社 製本:中永製本 定価:本体1050円+税 序文:加藤武雄 秋の瞳 貧しき信徒2025/03/23
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