出版社内容情報
日本人に読み継がれる名作。若い女性教師と十二人の生徒のふれあいを通して、戦争への怒り、悲しみが表現される(解説=鷺只雄)
内容説明
瀬戸内の一寒村に赴任した若い女性教師と十二人の生徒の、昭和初期から戦後までの二十数年にわたるふれあいの物語。子供たちを育み守ろうとする先生と、時代の引き起こすきびしさと貧しさに翻弄されながら懸命に生きる子供たち。戦争への怒りと悲しみが訴えかけられる。日本人に読み継がれる壺井栄(1899‐1967)の名作。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ykmmr (^_^)
90
この小説のストーリーに惹かれて、小豆島にも行って今に至る。もっと爽やかな物語を想像していたが、『時代観』が出ていて、子供たちがそれを背負う、意外に重い内容である。出会った時の輝いていた『二十四の瞳』はそれぞれの人生に喜怒哀楽・右往左往し、さらに数も減り、20年の時を経て再会する。再会した時にそれぞれの人生を全うし、理解しあい、再会を喜ぶ姿は読者をホッとさせ、物語の終わりへ導いてくれる。こちらには恋愛要素はないが、何となく『サウンドオブミュージック』に似ているかな。2021/08/30
彼岸花
40
教師として第一歩を踏み出した大石先生が初々しい。逞しく成長する12人の生徒の記録でもある。明朗闊達な、おなご先生だ。彼女は生徒の輝く瞳を見ているだけで、幸福を感じていたのかもしれない。だが、全てを破壊するのが戦争である。得られるものは何ひとつない。命の尊さと儚さが深く心に沁みた。二十四の瞳はもう二度と揃うことはないが、残された者同士が肩を寄せ合い、前向きに生きようとする姿が救いだった。現在、世界を見渡せば紛争や戦争は終わっていない。彼らの流した涙を無駄にせず、戦禍を招くことがないようにしなければならない。2023/08/15
おせきはん
20
岬の分教場に赴任した新人教師の大石久子と、そこで出会った12人の子どもたちが、貧困や戦争に直面しながらも生きる様子が描かれています。大石先生の復帰を祝う歓迎会で、大石先生から弁当箱を贈られた後、故郷を離れた松江とゆっくり話をできたのはよかったです。自分自身、小学校のときの同級生とは長い間、会っておらず、この本を読み、彼らが今どうしているかも気になりました。2019/06/10
jima
19
久しぶりに再読し、内容をすっかり忘れていて、新鮮だった。作者の反戦平和の願いが作品全体に貫かれている。良かった!2021/08/03
haruaki
18
この頃の時代は男女の役割差別、庶民の子供が学校へ行くより家の手伝いをする事などは当たり前だった。しかし貧困による悲しみは数あれど、子どもも大人も伸びやかな所があったのかもしれない。戦争が全てを壊してしまうのだ。誰が自分の子どもに人を殺すために愛情注いで育てよう。誰が鉄砲に撃たれるために歌や国語や算数を教えようか。戦争をする為の法律を作る政府など愚かしい。教師と生徒の触れ合いに涙が溢れるだけではなく、とても社会的な作品でもあると思った。2020/02/19
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