出版社内容情報
種田山頭火(1882-1940)は、托鉢行乞の旅の僧として生きた俳人。漂泊の中、酒に溺れながら、自己の生を俳句に表現し続けた。その句は、日本人だけでなく、世界で広く愛読されている。山頭火の俳句、散文を精選した。
内容説明
山頭火(1882‐1940)は、俳人にして托鉢行乞の旅の僧であった。酒に溺れ、漂泊と隠遁を繰り返しながら、斬新にして自由な日本語で、自然と自己を見詰めた独自の俳句を紡ぎ出した。日本人に広く親しまれるだけでなく、世界で愛読されている前衛詩人である。全句から一千句を精選した。種田山頭火の詩と真実を伝える日記、随筆を併せて収録した。
目次
俳句
日記
随筆(ツルゲーネフ墓前におけるルナンの演説;夜長ノート;生の断片;底から;十字架上より;俳句における象徴的表現;象徴詩論;燃ゆる心;最近の感想;白い路 ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
121
山頭火という人の俳句は以前から気になっていましたが、この本は俳句というよりもまるまる山頭火という感じの本でその人となりもよくわかりました。俳句が前半で、日記、随筆、箴言集のようなものまでよく集めたと思います。解説も非常にしっかりと書かれています。再読する本です。2018/09/06
ちぇけら
26
「ふとめざめたらなみだこぼれてゐた」生きていたいと思うのは卑しいでしょうか、生きていたくない朝がくる。消えない煩悩、執着。酒で流す。流れぬ。気だるい朝日がのぼる。「つくつくぼうし、わたしをわたしが裁く」ことばを削って芸術へ。ひとつの秀句のために。放哉とくらべては、きっと悩む。「このまゝ死んでしまふかも知れない土に寝る」「うつむいて石ころばかり」山頭火にしか詠めない句と苦にみちていて、目の前がにじむ。きっとそれは蜃気楼、俳句の御影。2019/03/13
クラミ♬
19
「うしろ姿のしぐれてゆくか」2022/07/31
ドラマチックガス
15
存在を知ったのは「知ってるつもり?!」かな。自由律俳句を知った人は、必ず「こんなんでいいなら自分も作れるwww」と思う。僕もそうだった。でも、実際にやってみると、なんか聞いたことがあるものの真似にしかならない。575のテンポに頼れない分、本当にセンスが必要なんだと思う。そんな自由律俳句の素晴らしさが存分に味わえる。後半は残された日記やエッセー。どこか滑稽な日記に対してエッセーの論理的なこと。その辺のギャップも魅力なのかも。2024/03/09
本の紙魚
5
昨年読んだ「横しぐれ」を思い出しながら読了。日記では詠んだ句とともに芸術とはなにかという彼自身の思索、やめようと思ってやめられない酒と句と死への思いが綴られる。戦争の最中に句をひねり、時に世相にふれ、生々しい山頭火の最後の日々が語られる。写真の姿はレトロだが、確かに彼はモダンな俳人だった。横文字まじりの日記を読みながら思う。"sein"の追求の部分では特に。ここのところ日々に疲れていたので、山頭火の句と日記がしみた。留まることは滞ること。行乞を再開した山頭火の後ろ姿が目に浮かぶ。うしろ姿のしぐれていくか。2022/06/16
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