内容説明
優しく恐ろしい自然の囁きを聴きとり、移りゆく季節をとじこめる言葉たち。目に映る世界がひときわ輝く、四十人四十篇の言葉の結晶。
目次
1 鐘の声
2 長春香
3 李朝夫人
4 辛夷の花
5 涼しき隠れ家
6 小園の記
7 雪中行
8 花幾年
1 ~ 1件/全1件
- 評価
稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
115
随筆選ということで、2冊目が出版されました。8つの分野にそれぞれ5つづつの随筆が収められて全40編あります。随筆というのは小説など特にミステリーなどと違って先を追って読まなくてもいいのでゆったりと読めます。はじめのほうには、草雲雀やホトトギス、燕など虫や鳥について、花や隠れ家などについての楽しい話もあります。ジャンルもこれだけあるとかなり楽しめます。2016/05/25
モリータ
9
◆2016年刊。明治~戦後すぐの時期に書かれた随筆から、「加藤周一の「季題」にかかわる、自然の風物と光景、季節の移り変わりと人間の生活の営みなどをめぐる文章を中心に、八つのグループのもとに計四十篇の作品を収録」。分類の詳細はコメで。◆なお初出年のみで月・媒体の記載なし。不親切。◆具体的な・率直なまなざしで書かれたものに惹かれる。人間(他者:百閒「長春香」、自己(朔太郎「夏帽子」)、風物(野上「二つの鼓」、蛇笏「茸をたずねる」、佐多稲子「秋の風景画」)。諧謔のある蘆花「草とり」、安吾「ラムネ氏」も。(続2022/09/13
広瀬研究会
3
『燕』(川端康成)とか『ピアノ』(芥川龍之介)を読むと、どこまでが随筆でどこからが小説なのか、わからなくなりますね。『夏帽子』(萩原朔太郎)なんてラノベっぽいというか森見登美彦みたいで笑ってしまった。2016/11/06
M7T
1
余りこういうものを読んでこなかったので、たまにはいいかと思って購入した。岩波文庫を買うのは何年ぶりかなぁ。元気でやっているようで何よりです。40人40編の作品集は大半は面白く読めた。でも、形容詞が多く、時間経過や展開の少ないものはやっぱり退屈だった。自分の読書傾向を知ることができて有意義な読書だった。2025/02/11
頼山陽
0
漱石、荷風、百閒から、島木赤彦、尾瀬小屋の平野長蔵といった人物まで、収録作品のチョイスはさすがに岩波、なかなか唸らせるものがあります。第2集には四季をテーマとする章立てもあるので、折を見てじっくりというか、ふと手にとって味読したいところです。大人が楽しめる1冊です。2017/10/05