内容説明
龍馬暗殺から16年―維新の記憶もまだ新しい明治16年、地元高知の新聞に連載された最初期の坂本龍馬伝。自由民権の志士、坂崎紫瀾の勢いある文体からは激動の時代の空気がほとばしる。現代に至るまでさまざまなメディアで描かれてきた坂本龍馬像の原点。評判を呼んだ連載当時の挿絵66点を全点収録、詳細な注・人名一覧を付す。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
壱萬参仟縁
5
汗血とは非常な労力(329頁)。駿馬は中国史で出る。ルビがあるものの読むのは大変。袴を着ると口調が変わるような文体。現代人には読みにくい。適宜挿絵があって時代を垣間見ることが可能。閑(間)話休題は「あだしことはさておき」と書かれている(76頁)。113頁には「はなしかわって」と読ませている。そうした使い方もあるのかと感心した。SBCラジオの武田徹のつれづれ散歩道で竜馬の話を紹介しているので、そうした内容を踏まえないと理解できない。「交易の開けしより物の価日に日に上りて」云々(122頁)。TPPならどうか?2013/04/14
蔦屋重三郎そっくりおじさん・寺
5
面白い。当時の伝聞、史料、間違い、明らかな出鱈目(笑)も交えた講談調は思わず音読したくなる。司馬遼太郎の竜馬の画期的さもよくわかる。こちらの豪傑龍馬も魅力的。確かに後半出番が少ない。しかしラスト近く、唐突にとんでもない所に登場します(笑)。2011/07/02
カワサキゴロー
3
坂本龍馬よりも維新へむけ幕末を奔走する人たちに魅力を感じる一冊だった。少し寄り道の話題も楽しい時間。 挿絵が次号予告になってるのが、また良い。2024/05/04
自然堂
2
最初のページを開いた時にパッと見の文体の取っ付き難さから、しまった、と思ったが講談調の筆致が小気味良く意外とサラリと読めた。昨今の小説やドラマでの龍馬像のステレオタイプは、現代的に過ぎて時代的な背景を鑑みるに少々違和感を感じる事もあるが、本書の龍馬はそういった後年に付加されたイメージを削ぎ落したシンプルさで、却って新鮮であった。個人的にはコレくらいの方がシックリくる。本書のいろは丸事件での龍馬のやり口が完全にヤクザで、現在の坂本龍馬像とはまったく結びつかないえげつない手口で賠償金を毟り取っていて笑ったw2012/01/08
denz
1
坂本龍馬像の原点。しかし、後半は影が薄い。2010/12/23