岩波文庫
自註鹿鳴集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 302p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003115411
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0192

出版社内容情報

おほてら の まろき はしら の つきかげ を つち に ふみ つつ もの を こそ おもへ 唐招提寺にて 秋艸道人会津八一(1881-1956)はその晩年,歌集『鹿鳴集』に自ら註を付すことに没頭した.本書は,美術史家・書家にして歌人八一の全生涯を凝縮した自己表現の書であり,古都逍遥の格好の手引きともなろう.(解説=植田重雄)

内容説明

秋艸道人・会津八一(1881‐1956)はその晩年、歌集『鹿鳴集』に自ら註を付すことに没頭した。本書は、美術史家・書家にして歌人八一の全生涯を凝縮した自己表現の書であり、古都逍遙の格好の手引きともなろう。

目次

南京新唱 九九首
山中高歌 一〇首
放浪〓(きん)草 六三首
村荘雑事 一七首
震余 八首
望郷 七首
南京余唱 四二首
斑鳩 一二首
旅愁 一九首
小園 九首
南京続唱 十四首
比叡山 十二首
観仏三昧 二十八首
九官鳥 十二首
春雪 一〇首
印象九首

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

新地学@児童書病発動中

113
ひらがなの柔らかな感じが好きだ。目で見ても声に出しても、柔らかさを感じられる。漢字のように引き締まったところはないが、日本人の心にすうっと染み込んでいく表記法だと思う。会津八一の歌は、すべてひらがなで記され、匂い立つような美しさがある。分かち書きにしてあるので、一つ一つの言葉の響きを味わいながら読むと、「あ」や「の」のようななじみ深いひらがなの中にある、無限のニュアンスと響きの美しさを感じ取ることができる。日本語はこんなにも美しい言葉なのだ。2016/10/10

ロビン

22
美術史家会津八一が、古都奈良の神社仏閣と収蔵されている仏像、また長野や郷里新潟など各地の風物を詠んだ歌集で、大和ことばを愛した八一の拘りで全作品がひらがなで書かれている。万葉集を愛した八一は創作時にも万葉集の歌歌を下敷きにしている。雪の降る音や虻の羽など微細な音やものを繊細に感じ取る感性に打たれる。法隆寺夢殿の救世観音に詠んだ「あめつちにわれひとりゐてたつごとき このさびしさをきみはほほえむ」や東京の友に送った「なべてよはさびしきものぞくさまくら たびにありともなにかなげかむ」等が豊かな孤独を湛えている。2021/11/08

syota

17
学生時代からの愛読書。特に『南京新唱』(なんきょうしんしょう)は、どんな旅行ガイドよりも奈良へのあこがれを掻き立ててくれる。ゆっくり読んでいくと、眼前に古い御仏のお姿がたち現れるようだ。本書と『大和路』(堀辰雄)が、私の奈良への、そして古代史への関心を育んでくれた。

モリータ

15
◆大和古寺巡りをしていればそこここで見かける歌碑に、読まず巡ったふつつか者は先の逍遥に期待をはせて読むのだった。◆初夏〜盛夏の日の高いうちに三度歩いたこともあって、春秋冬の微妙さや寂しさ、暮れの美しさを詠んだ歌を実感で味わうには足りず、むしろ季節感の薄い「くわんのん の-」によって、今までみた観音像を、涼しげな額と吹き抜ける風によせて(理想的に)想起させられた。◆「くわんのん」「ようらく」「十八だいらかん」といった漢語、「びるばくしや」「ぐんだり」といった梵語のひらがな表記は非常なインパクトあり。2018/08/01

浅香山三郎

11
奈良の寺や神社を訪れると、会津八一のまことに抒情的な作品の歌碑に出会ふことが多い。漢字を使はずひらがなで書かれ、かつ、出来るだけ和語を用ゐて詠まれた歌に、自ら註を施してゐるのが本書である。ひらがなを追ひ、まづ音にして和歌を詠み、そのあとに意味が来る。その詳註は、大和の古物・古社寺に親しむ手引きともなつてゐる。歌を詠むことが、美術史家としての学問と一体であつたことがよくわかる。2024/07/06

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