出版社内容情報
明治24年,ジャーナリスト岸田吟香の息子として生まれた岸田劉生(1891-1929)は,一連の麗子像を中心とする作品で,近代日本を代表する画家の1人となったが,文才にもめぐまれ,画論,随筆を数多くのこしている.明治・大正の銀座をしのぶ「新古細句銀座通」をはじめ,「デカダンスの考察」等19篇を収録.挿絵多数.
内容説明
一連の麗子像を中心とする作品で知られる岸田劉生(一八九一‐一九二九)は、文才にもめぐまれ、卓抜な画論、随筆を数多くのこしている。明治・大正の銀座をしのぶ回想録「新古細句銀座通」をはじめ、「デカダンスの考察」「草土社今昔談」等19篇を収録した。挿絵多数。
目次
新古細句銀座通
自分の行く道―その他雑感
木版画について
才能及び技巧と内容について
装飾文字について
思い出及今度の展覧会に際して
リーチを送るに臨みて
想像と装飾の美
新年に際して画壇に
製作余談
アメリカ趣味とセセッション趣味を排す
一画工として
東洋芸術の「卑近美」について
デカダンスの考察
東西の美術を論じて宋元の写生画に及ぶ
私の日本画について
草土社今昔談―美術界今昔話
海鯛先生の清玩論
ばけものばなし
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ありんこ
6
昔の銀座について書かれた文章が良いです。今もまだ残るお店もあり、地図や写真を見ながらブラタモリしたくなりました。孤独についてや、才能について、美術教育についての著者の考えが印されていて、興味深く読みました。麗子像以外の作品もネットで調べたりしたのでいつか美術鑑賞したいです。2022/05/22
Fumoh
2
岸田劉生の幼少期の思い出をつづった新古細工銀座通、というエッセイが面白いし、読んでいて心がほかほかする。そこから雑誌や新聞に掲載された、短文の芸術評論が続いていくが、岸田劉生らしい断定的な、オジサン評論で、「〇〇の絵は良い。芸術の本質が分かっている」「××の絵はダメ。嫌いだ。なんにも分かっていない」などと、根拠の見えない話が続くが、居酒屋談義っぽい気軽な感じがいいかもしれない。東洋の絵に対する精神的な洞察は深いものがあり、読んでいるとハッとさせられるものもある。ただし話半分で聞くのがよいか。2023/11/24