岩波文庫<br> 大手拓次詩集

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岩波文庫
大手拓次詩集

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  • サイズ 文庫判/ページ数 434p/高さ 15X11cm
  • 商品コード 9784003113318
  • NDC分類 911.56
  • Cコード C0192

出版社内容情報

生と死の交錯する妖しい夢幻世界の実像を,口語自由詩で表現した大手拓次(一八八七‐一九三四).孤独と病魔にさいなまれながら,フランス象徴詩を道標として,詩人は生の証しを詩作に求めた.全作品約二四○○篇から二三二篇を厳選して年代順に配列し,詩人の生涯の営みをうかがえるよう配慮した.散文詩や訳詩も紙幅の許す限り採った.

内容説明

生と死の交錯する妖しい夢幻世界を表現した特異な詩人。その全貌が、厳選された232篇から浮び上る。厳密な校訂を行った決定版。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

54
薔薇と香料の詩人。最初こそ象徴詩独特の衒学的な言葉遣いに戸惑うも、読み込んでいくとその言葉の迷宮に囚われ抜け出せないような感覚を覚える。ただ後期には「骸骨は踊る」「野を匍ひ歩く耳」「白布にとりまかれた霊魂」等、朔太郎との関係を思わせるような作品もあり、こちらの方がイメージしやすく好み。やはり大正から昭和初期の詩の世界は独特の世界観を内包したものが多く、言葉遣いの端々にもその時代の感覚が溢れているよう。「ばうばう」という表現とか。香り高い薔薇の迷宮を彷徨うような、読んでいる間そんな感覚を覚える一冊であった。2019/10/09

壱萬弐仟縁

14
極めて余白の多い本。気に入ったのを見つければ、音読・味読もできる。「冬のはじめ」で、「まどよりはひつてくる冬のことづて、まづしさとくるしみのうへに なほひとつの重荷をかさね、さびしくさびしくこの心をそそけさす」(90頁)。今の季節のような感じ。貧しさと苦しみの上に何の重荷が? 病気かもしれない。「一人のために万人のために」で、「一人の生きるために、万人の生きるために、民衆のうへにみどりの火をかざせ。  一人の死をとむらふために、万人の死をとむらふために、民衆のうへに青銅の鉦(かね)をならせ」(152頁)。2013/10/18

冬見

13
2018年重版。生と死の交錯する世界に蠢く蛇と憂鬱の薔薇の香り。当時の詩人の他の誰とも重ならない、彼独自の世界。全くの別物なので比較するようなものではないけれど、完全なわたし個人としての好みは朔太郎。嫌いじゃないけど、少しだけリズムが合わない。またいつか読み返そう。2021/03/03

内島菫

12
ラジオで池辺晋一郎の「ちろ そろ ちろそろ ハーモニカとピアノのために」を聴いたのをきっかけに本書を読む。大手拓次は西村朗が愛した詩人でもあるといい、上記の曲は池辺と西村との縁を伝える。そのせいか、「ちろ そろ ちろそろ」で始まる「夜の時」という詩がとてもいいと感じた。「夜の時」があれば、「あを あを あを あを あを」で始まる「昼の時」と、「あ あ あ あ あ」で始まる「朝の時」もある。が、やはり「夜の時」がいい。大手拓次の命日が薔薇忌と呼ばれているように確かに薔薇をうたった詩が多いが、2024/02/15

みどり

11
「金子みすゞと尾崎翠」から、薔薇の詩人・大手拓次がとても気になり手に取った。表現が秀逸。『それは、をりをりにわたしの感情の食欲を飾るうつくしいパイである(指の群)』『ひといろの におひを こめて、さよさよと咲く ばらのはな(雪色の薔薇)』独特なリズムが堪らない。訳文もよい。主に大手氏が崇拝していたボードレールの訳詩が多いが、他もまたすごい。ローラ・ベネットの「若い女のような春」の訳がとても好きだった。たまに出てくる氏のイラストがゆるく愛らしい。お風呂の中で声に出して読むと2割増しで気持ちがいい、おすすめ。2017/05/26

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