出版社内容情報
舞台は日中戦争下の大阪.市役所に勤め部落更生事業に打ちこみつつ左翼運動に関係する矢花正行と,政治運動から脱落した友人大道出泉を対極の主人公として,政治関係や社会関係,友人・女性・家族関係等が細緻に描かれてゆく.全体小説をめざし,二十三年の歳月をかけて完成した八千枚の長篇. (解説 篠田一士)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ディヴァイン
4
莫大な小説。『家の馬鹿息子』同様に次巻移行することを阻むような文字の量に若干モチベーションが下がる一方。でも、バルザック流の人間描写が冴え渡り、魅惑的なキャラクターに飛んでいる。内容はあらゆる要素を組み合わせられていて一度に様々な味が楽しめるといった点がおいしいかな。2009/11/13
格
3
今年に入ってから谷崎潤一郎賞受賞作読破という目標を掲げてきた訳だが、遂に来てしまったという形だ。1巻が解説抜きで900ページ越え。これがあと4巻ある。全体を通しての感想は最終巻読了後に纏めたいところだが、いつになることやら。戦争の影響が徐々に人々を締め付けていく空気の下に展開されるかつての同士(小説内の現在では絶交している)達のドラマをモチベーションにゆっくり読んでいこうと思う。2024/09/07
嵐 千里
0
1巻平均870ページという、超超長編小説。 粘り気のある執拗な描写が延々と続く文体と、そこまで拾わなくともいう会話の応酬で綴られる。 小説を読んでいるという実感を体験できる。 内容には敢えて触れないでおきましょう。2023/11/12