出版社内容情報
「私はこの本一冊を創るためにのみ生まれた」――〈太宰治〉という作家の誕生を告げる小説集であると同時に、その最高傑作とも言われる『晩年』。まるで散文詩のような冒頭の「葉」、〈自意識過剰の饒舌体〉の嚆矢たる「道化の華」他、日本近代文学の一つの到達点を、丁寧な注と共に深く読み、味わう。(注・解説=安藤宏)
内容説明
「私はこの本一冊を創るためにのみ生まれた」―“太宰治”という作家の誕生を告げる小説集であると同時に、その最高傑作とも言われる『晩年』。まるで散文詩のような冒頭の「葉」、“自意識過剰の饒舌体”の嚆矢たる「道化の華」他、日本近代文学の一つの到達点を、丁寧な注と共に深く読み、味わう。
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
58
正直に言うと私は太宰治作品の読者として不真面目な方である。何故なら、読む度に苛立ちに襲われ、ちっとも集中できないからだ。「生きづらいならいっそ、自意識を外にやれ!道化や馬鹿になるなら徹しろ!中途半端に自意識を持て余し、人生に挑んどると辛いぞ!」と背中を蹴りつけたくなるのだ。特に「猿面冠者」の自意識過剰の為に自身の処女作を読むよう、町中にビラを貼りまくるという行為に「おい、恥の上塗りは止めれ!」と叫びそうになった。挙句、メタ視点での詩神めいた女性からの書簡から自身の才能のなさを指摘されるという周知。ドMか!2024/09/16
優希
44
「太宰治」という作家の誕生と同時に処女作でもある短編集になります。遺作のつもりで紡いでいるからか、「晩年」を感じさせる世界観が散りばめられているように思えました。『晩年』という作品はありませんが、おさめられた短編全てが『晩年』と言えるのかもしれません。2024/11/24
たつや
6
太宰の処女短篇集だが、これを遺作のつもりで、「晩年」と付けたセンスは卓越していて、流石、太宰先生と生唾を飲んだ。十五の短篇は太宰が二十代に書いたものだそうだ。つまり、二十代で死を決意していた事になる。これも、敗戦が、大きな影響を与えたのか?2024/11/23
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1
この最初の短編集が、やはり太宰の最高傑作です。2024/08/17
飯田橋
0
太宰治の処女作なのにタイトルが『晩年』。実に彼らしいタイトルであると思った。随所随所にタイトルにもなっている「晩年」を連想させるようなセンテンスが散りばめられていて、確かに若くして人生を終わらせる気があったのだろうと考えさせられる。2024/11/07