出版社内容情報
詩を読み詩を愛する者はすでにして詩人であります.著者はこう読者によびかける.そのうえで,読者を縛らずにどう詩のふところへ誘うのか.それは,藤村・泣菫・白秋から,朔太郎・中也ら様々の詩を例に,自分の読みとりかたを自己に即して語ることであった.著者の,詩を読む感動が,そのまま伝わってくる好著. (解説 杉本秀太郎)
内容説明
詩を読み詩を愛する者はすでに詩人であります。著者はこう読者によびかける。そのうえで、読者を縛らずにどう詩のふところへ誘うのか。それは、藤村・泣菫・白秋から、朔太郎・中也ら様々の詩を例に、自分の読みとりかたを自己に即して語ることであった。著者の、詩を読む感動が、そのまま伝わってくる好著。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
101
私達は散文の世界に住んでいる。求められるのはこの本の言葉を借りれば、理に勝る(論理的になる)こと、意味が分かることだ。それは生きていく上で必要なことだが、論理や意味ばかりにこだわると心がすり減ってしまう。そんな心を回復させるのが韻文(詩)や音楽だと思う。だからこの本にあるように詩を読むときは意味にこだわらず、リズムやイメージを心で受け止めれば良い。冒頭の島崎藤村の詩の音楽性を解き明かす手際の良さは素晴らしい。気品のある美しい日本語で書かれており、三好達治は散文の使い手としても一流だったことが分かる。2014/01/21
I (et al.)
28
詩をどのように読むかというひな形がさいきん気になっていて、ゆったりと講義を受けるような気持ちで読む。するすると、けれども丁寧に詩を細分化して鑑賞する。詩人の言葉の細部にまで稟質があると述べる三好らしい印象的なやり方であろう。たびたび読み返し、ここに帰ってきたいと思える詩論。2021/12/03
おにく
27
詩を読みたいと願う人の解説本です。執筆された三好達治氏が、まえがきで「詩を読み、詩を愛する者は、既に彼が詩人だからであります。」と、同じ目線で語りかけてくるので、敷居の高さは感じませんでした。この本は元々、昭和27年に別な出版社から出された本の再編集とのことですが、詩が普遍的だからか古さは感じませんでした。この本をステップに、近年の作品にも触れて行きたいと思います。詩に対する個人的な印象ですが、小説とは頭の使う部分が違うようです。根気と反復が必要で、読んでいて何度も寝落ちしてしまいました。2016/10/17
双海(ふたみ)
19
藤村、泣菫、すばらしい。いつ見ても好いと感じる。2015/03/13
しゃん
18
中学時代の国語の教科書だったか、三好達治の「草千里」は自分が詩を読むきっかけを与えてくれた作品だった。それを思い出し本書を読んでみた。まず、本書で撰ばれた日本の近現代詩は、大体自分好みで読んでいて楽しかった。そして、それを三好達治氏が読詩家の機嫌を損ねないよう気を遣いつつ、優しく解説してくれているので、すんなりと読み通すことができた。これまで、詩の技法についてあまり深く考えずに、闇雲に読んできたので、本書のおかげで少し詩の読み方が分かったような気がした。本書をきっかけとして、家にある詩集を再読してみよう。2017/03/20