出版社内容情報
世俗的なものとの妥協を排し,不断の情熱をたぎらせて人生の意味を追求し続けた光太郎の詩は,美しいもの,真実なものに対する善意と愛に満ちている.その歩みの中から九十三の詩篇を精選し,「道程」より・「道程」以後・「智恵子抄」より,の三部に編んだ.作者が生前自ら校閲した最後の詩集である. (解説 奥平英雄)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
114
昭和30年初版のこの詩集によって高村光太郎の詩「道程」を中学生の頃知って以来、この詩人の雄渾な詩を愛好してきた。この詩集の後半にある「智恵子抄」で見せた愛妻への純粋な愛情も彼の詩人としての大事な側面だが、私にとって、意志と力の「道程以前」の詩群は他のどの詩人も近付けない純粋な魂の歌である。と、まあ、読むたびに同じような感想を吐き出して、今回もまたこの詩集を読んでしまった。2024/12/15
匠
111
高村光太郎詩集の中では北川太一編が、詩の下部分に詳しい解説が載っていてわかりやすいのだが、こちらは作者自身が校閲した九十三の詩篇を、「道程」より・「道程」以後・「智恵子抄」より、の三部に構成されている。詩集はいつも感覚で読むものだからどうしても好みで選んでしまうが、やはり『道程』には奥深さを感じる。表題作の「道程」はもちろん、”世界がわかわかしい緑になって、青い雨がまた降ってきます”・・で始まる「人類の泉」、父の顔を粘土で作りながら物想う「父の顔」は今ならその意味がすごくわかるし共感できる。 2014/04/28
クプクプ
88
高村光太郎が彫刻家だということを初めて知りました。自然に対する美や女性に対する美意識が非常に高いです。掲載されている全ての詩が良いですが、私は「ミシエル・オオクレイルを読む」という詩の中の「もうおけらが啼いてゐる。」という文章が一番こころに響きました。私は幼年期から青春時代を狭山丘陵で過ごしましたが、近所の池の土手でケラが鳴いていたのを思い出しました。ケラはモグラのような前足をもつコオロギの仲間なので鳴く虫なのです。短い文章ですが、改めて詩というものは侮れないな、と感じました。2022/05/10
金吾
26
智恵子抄しか読んだことがありませんでしたので、面白かったです。特に「声」や「苛察」は良かったです。2024/05/27
しーふぉ
20
僕の前に道はない 僕の後ろに道は出来る で始まる道程や智恵子は東京に空がないといふ で始まるあどけない話しなど聞いたことある詩がたくさんある。これを読んで高村光太郎好きになりました。2014/11/18