出版社内容情報
独特なユーモア感覚とみがき抜かれた芸術品ともいうべき文章で,熱烈なファンの多い斎藤茂吉(一八八二―一九五三)の珠玉の随筆集.日本人のヨーロッパ紀行の白眉といわれる「ドナウ源流行」「接吻」「妻」等のいわゆる滞欧随筆を中心に,幼少期の思出を語る名篇「念珠集」(抄)や「島木赤彦臨終記」「巌流島」等代表的散文二七篇を収録.
内容説明
独特のユーモア感覚とみがき抜かれた芸術品ともいうべき文章で、熱烈なファンの多い斎藤茂吉の珠玉の随筆集。日本人のヨーロッパ紀行の白眉といわれる「ドナウ源流行」「接吻」「妻」等のいわゆる滞欧随筆を中心に、幼少期の思い出を語る名篇「念珠集」や「島木赤彦臨終記」「巌流島」等代表的散文27篇を収録。
目次
念珠集抄
玉菜ぐるま
紙幣鶴
接吻
ドナウ源流行
妻
探卵患
リギ山上の一夜
蕨
日本媼〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
モリータ
12
読みやすかった。紀行文も退屈じゃなかった。2014/05/29
ダイキ
4
編/解説・阿川弘之/北杜夫。 「われわれはやぶれた。やぶれたのは何にやぶれたのか。戦にやぶれたのである。戦に徹底的にやぶれてへたばつてしまつた。戦がもう出来なくなつてしまつた。また永遠に戦はしてはならない、またしないつもりである。軍艦一つ造らぬのである。永遠の丸腰である。へたばつたのである。しかし自分の国語までへたばり、堕落せよとは誰が教へたか。永遠に戦争をしない国が、自分の国語ぐらゐ守護し、大切にしてどうして悪いのであらうか。」(「新仮名づかひ」)2020/02/26
スリルショー
2
前半のドイツの紀行文は、ドイツに行ったことがないので、その土地の風景を想像するのにインターネットを使いながらであった。文章は読みやすく、丁寧である。日本物の随筆は、日本の知識があるので興味が湧く。その中でも「鴎外の歴史小説」に感動した。乃木希典の殉死について、当時、批判的な意見が知識人の間では多かったようだが、鴎外は感動を受け、「興津弥五右衛門の遺書」他いくつかの短編を書いている。もう一人、漱石もその一人で「こころ」を書いている。共通しているのは、ふたりとも江戸の末期に生まれている。2024/08/30