出版社内容情報
銀座のカフェーの女給君江は,容貌は十人並だが物言う時,「瓢の種のような歯の間から,舌の先を動かすのが一際愛くるしい」女性である.この,淫蕩だが逞しい生活力のある主人公に,パトロンの通俗作家清岡をはじめ彼女を取巻く男性の浅薄な生き方を対比させて,荷風独得の文明批評をのぞかせている. (解説 中村真一郎)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
コットン
68
昭和初期の女給として奔放に生きる君枝の妖婦っぷりが凄い。2020/03/28
いたろう
46
昭和初期の銀座のカフェーの女給、今で言うとクラブのホステスか。男性との関係は多いが、恋愛ではなく、嫉妬という感情を知らない主人公・君江と自由奔放な君江に翻弄される男たちの性〈さが〉。店に売られて身を売る女性、男に囲われる女性、女性が男の隷属物だった時代から、女性が自分の意思で男を選ぶ時代へ。カフェー通いをしていた荷風翁らしく、女給をはすっぱだが強い女性、昭和の新しい女性像として、生き生きと描いている。2016/01/26
クプクプ
36
面白く、集中して読めました。主人公の君江が魅力的でしたし、男好きの君江の噂が広まるというのが現代と重なり引き込まれました。場面場面で当時の映像が頭に浮かびました。また後半のセリフがつづく場面も心地よかったです。一度では登場人物が把握しきれないので繰り返し読むべき本だとお思いました。私自身、いつもの日常と異なる高揚感に包まれて読んだので、短い本ですが永井荷風らしさが存分に発揮された、ただならぬ本だと思いました。2018/10/08
さばずし2487398
32
昭和初期のカフェの女給さん達の生活と世相が生々しく、街や暮らしがリアルに伝わって来た。今では考えられない様な女性への扱いの時代性を感じるのは致し方ないが、そんな中を縫う様に男達に足跡を残しながら奔放に生きる主人公は逞しい。鶴子が一番かわいそうだと思うが彼女は彼女で決意を持って家を出たのであり、この2人の女を対比しているのかもしれない。2026/02/27
Kotaro Nagai
28
本日読了。本作は昭和6年の作品。カフェーの女給君江のと彼女をめぐる男たちとの刹那的な生活を描いている。昭和初めのカフェーと女給たちの描写がリアルに活写されているのは、荷風自身が通って観察した成果といえる。ヒロインの君江さん、これに三流作家の清岡、貿易商の矢田といった男が絡むのであるが、浮薄な生活態度の輩たち。老人の松崎氏は教養もあり政府の高官だった過去から、後半君江を助ける場面で自身の半生を韜晦するシーンが荷風自身とダブるようで興味深い。昭和初期の市ヶ谷近辺の描写も情緒ある文章で堪能した。2020/01/19
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