岩波文庫
艸木虫魚

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  • サイズ 文庫判/ページ数 320p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003103135
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

自然を友とした著者の,澄み切った心境でつづられたエッセイ集.身近な小動物や草木にあたたかな目を注ぎ,人生のものがなしさとおかしさをさりげなく示す,枯淡と洒脱の円熟した文章が味わい深い.(解説=杉本秀太郎)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

45
これは大正の徒然草か。仏教説話に混ざって、はっとするような人間の真実を見透かす点において。ここでは仏教の代わりに中国の故事が多用され、茶道・書画の話題が当時の教養の質を感じさせられる。軽妙洒脱な随筆の名手といわれる詩人が花鳥風月を語るに、当時としては当然の教養だったのだろう。読者はその時代のものとして楽しめばいいのだが、花や鳥に注目すると、それらが人間の文化に染まり過ぎているのを感じてしまう。薄田はありのままの自然を知っている筈なのだが、書画の中の花や鳥のように文化の型に嵌った生命のない自然ばかりなのだ。2016/07/03

Tonex

36
随筆集。自然や季節の話題から入り、それに関係する歴史上の人物や友人知人のエピソードを紹介するというのが基本パターン。植物や小動物に対する視線の優しさ。ユーモラスな筆致。文学史的に薄田泣菫は難解な象徴派詩人として知られているが、随筆家として活動した期間の方が長いし、随筆の方が面白い。▼キリンの話は笑った。知人の父親が動物園に勤務していたときキリンの檻を設計したが、予算を減らされ半分の高さのものしか建てれなくなった。上司曰く「キリンの頭が天井につかえるなら、床の地べたを深く掘り下げればよい。」…おいおい! 2016/04/22

あきあかね

28
 山川草木、鳥獣虫魚ー生きとし生けるものへの愛おしさが伝わってくる随筆集。 大きなものだと、六千年の糸杉の巨木。「そんなものが一つ、まだ見ぬメキシコの森林に存在することを思うだけでも、私の心は波のように踴躍する。」 小さいものだと、冬の夕暮れに揺れる真っ赤なまんりょうの実。「持って生れたいささかの生命をいたわり、その日その日をさびしく遊んで来たまんりょうよ。またしても風もないのに、お前の小さな紅提灯が揺れ、そしてまた私の心が揺れる。」 様々な動植物について、古今東西の逸話を散りばめて軽やかに語られる。⇒2019/07/13

双海(ふたみ)

13
冴えた眼力で自然と人事を観察し、端正な文章で情感こまやかにつづる清澄な心境随筆。とりわけ、幼少時から親しんだ身近な小動物や草木に注ぐ著者の目はあたたかく、深い共感をこめて彼らに語りかける。枯淡と洒脱の円熟味ゆたかなエッセイの数々は、どこかなつかしく、またさわやかな読後感を呼ぶ。(カバーより)2014/04/29

ワッピー

8
四季の自然、植物、動物から偉人の逸話まで広く網羅した詩人のエッセイ。滋味豊かなユーモア、一閃のするどい眼差し、チクリと一刺しがあって、楽しみながら読みました。「春の魔術」「秋が来た」の季節の移ろいを全身で感じている描写にはわくわくします。また、中学のころから愛読していた「世界史こぼれ話」にも紹介されているエピソードがいくつもあって、懐かしい気持ちになりました。描かれた時代背景を知っていると、もっと楽しめるでしょうが、そのまま素直に読んで自分の琴線に触れたものを味わえばいいとも思います。「茶話」に進むかな。2018/03/05

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