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岩波文庫
千曲川のスケッチ (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 236p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003102367
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

『若菜集』刊行ののち,私塾の教員として信州小諸に赴任した藤村(1872-1943)は,千曲川にのぞむ地の生活や自然を詩情豊かに描いた.自然主義作家藤村の真摯な人生観や文学探求への思いのにじみでている小品集.改版.

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

市太郎

53
僕は千曲川の傍で育った。小諸は母方の故郷だ。だからどうしたというわけでもないが、時代は違えど懐かしさを噛みしめて読んだ。これは本当にスケッチと呼べるもので、ほとんど心理描写を交えず淡々と日々や風景を綴っている。風景描写は苦手なのだが詩情溢れる藤村の文は読んでいて、とても居心地良いものを感じた。ただ淡々としてるわけではなく、特にクライマックスとも言うべき屠殺の場面は地の静かな文が残虐で暴力的な面を逆に浮き彫りにし、印象付けられる。あと霜の描写に思わず唸った。長野の冬は厳しい。でもそれを楽しんでいる。まさに。2014/12/04

mahiro

23
島崎藤村が信州小諸で教員をしていた日々の記。当時の小諸や千曲川沿いに住む人々の暮らしや風景が目の前に蘇るような気がする。明治期の地方の暮らしは貧しく、小作農の暮らしは厳しいが、その名も知られぬまま生きては亡くなってゆく人々に寄せる藤村の眼差しは暖かさがある。地図を見て地名を探し藤村の歩いた道のりを辿り、植物名を調べてみたりしながら文章を楽しんだ 2022/03/20

零水亭

22
個人的な好みですが、藤村氏の小説はあまり好きではないです(藤村ファンの方、ゴメンナサイ)。同じ頃の文学者では漱石、鴎外、鏡花の方が共感できます。ただ、この「スケッチ」は別です。 長野県は広いけれど、地図でみると武田軍団が川中島に向かったルートなども描かれていることになるのかな、とぼんやり。

おせきはん

22
教師として小諸に赴任した島崎藤村が、滞在中に見聞きしたことが綴られています。美しさと厳しさを併せ持つ自然と、それらに向き合いながら強く生きる素朴な人々の様子が写実的ながら温かい視線で描かれていて、タイトル通り、まさにスケッチでした。2020/11/18

ラウリスタ~

22
『破戒』で描かれているような長野の山奥の人々の暮らしが描かれている。このころはまだまだ各地方がそれぞれ一つの「国」として捉えられていて、それでいて田舎の「百姓」などの自分とは別の職業階層の人たちを見る目が、現代日本人がカンボジアの子供たちの目を「貧しくとも輝いている」と理想化する時と同じ文法が使われているなあと思ったり。長野の人が教育熱心(というか知識を求める)なのは昔からのことらしい。2016/07/04

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