岩波文庫
家〈下巻〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 291p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003102350
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

内容説明

「われわれはどこへ行っても、旧い家を背負って歩いてるんじゃありませんか」「そいつを私はぶちこわしたいと思うんです」―小泉家の家長実は出獄するが国内に職はなく満州へ、神戸で失敗した橋本家の当主達雄もまた満州へ。日本に残された両家の家族たちの生活は、森彦と三吉の二人の肩にかかってくる。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kthyk

17
「夜明け前」の後の物語だが、「家」の出版は明治の終わ「前」より18年前の自費出版。木曽と馬篭の二つの旧家の生活破綻。姉の嫁ぎ先の橋本家と三吉(藤村)の小泉家は共に兄たちの不運により没落生活を余儀なくされる。二人の娘を失い、田舎教師の生活から作家の道を選び、小諸から東京に居を移す三吉は兄たち、従姉妹たちと共に大川周辺での新しい時代を生きる。その世界はあるがままの自然主義。しかし、藤村はやはり「若菜集」や「新生」「春」のように「個」と「我」その生の喜びと不安からは逃げることなく、文学のカタチを生み出していく。2021/10/31

たかぼー(人身御供)

10
家は家庭のみならず親戚も合わせての家。物語通して暗い話だが、悲壮感は不思議と薄い。一つ一つの出来事にそれぞれ500p位のドラマが隠されているのかもしれないが、それらがオムニバス形式となって詰め込まれているため、悲壮感が薄まったのかもしれない。長いし登場人物とその相関関係を覚えるのは面倒だった(未だによくわからない)が、この時分に読めてよかった。自分はこれを読んで結婚したくなった。2012/12/05

ピンクピンクピンク

6
読んだ印象「渡る世間は鬼ばかり」。島崎藤村さんの自伝的リアリズムホームドラマ。旧家の没落と家長制度を描いている。特別劇的な訳でもない、淡々と苦悩煩悶が続くのに物語を見入ってしまいます。登場人物達を素直に受け入れらて、そのままに共感できるというか。歴史物としても楽しめました。『春』『家』と読んでようやく大枠ながらも藤村作品の読み方を掴めてきた様な気がします。2018/06/04

あかつや

5
すごく面白かった。やるなあ島崎藤村。これを今まで読まずにいたのは失敗だったなあ。家族の問題ってのは今も昔も誰の家にだってあるだろうが、とくに現代と比べて印象深かったのは、とにかく人がよく死ぬってこと。子どもなんてちょっとしたことでコロッと逝ってしまう。今だったらその子ども1人の死で物語1つを費やしてしまいそうなもんだ。親族の男共は山っ気が強くて、一発当ててやろうとばかりしているが、人の命がこうも不確かな時代なら、その気持ちもちっとはわかる気がする。コツコツ働いたところで明日はどうなるかわからんもんなあ。2019/07/07

YY

2
じょうずにつくってある。なにより、三吉にも色狂いの兆しがあらわれているのが素晴らしい。徹底的に崩壊した末、どんな未来が待っているのか2013/01/11

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