出版社内容情報
秋声の大正期短篇小説より傑作9篇を選ぶ.娼婦が想いをよせていた馴染み客の父が実は自分のひいき客であったという,モーパッサン流の短篇「或売笑婦の話」のほかに,「蒼白い月」など8篇を収める.「黴」などの私小説と違った秋声の客観小説を代表する好篇.解説=徳田一穂
感想・レビュー
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駄目男
2
秋声は明治29年に26歳で『薮かうじ』を発表して以来、昭和16年に『縮圖』を71歳で書くまで明治、大正、昭和と三代に亙って活動し書き残した作品は長短編合わせて千編以上。秋声は尾崎紅葉率いる硯友社の門下だが、その頃、流行の硯友社文学は江戸趣味の残存した作意の多い文章で、それに飽きたらい秋声は明治41年『新所帶』を発表、作風を一変。自然主義の大家として名を留めたが、今日では殆ど読む人とてない。気になったので『徳田秋声全集』なるものが存在するかどうか調べてみると何と!42巻+別巻1で本体423,600円+税。2018/01/03