出版社内容情報
日清戦役に際し従軍記者として軍艦千代田に搭乗した独歩(1871‐1908)が,威海衛の海戦を中心とする戦況を,生彩豊かな書簡文体をかりて記録した従軍記.脈々として揺曳する詩韻の裡に独歩の天分を彷彿させるものがあり,戦場の風物に寄せられたワーズワース的感慨が漂い,その中に愛国の心事と豊かな人間性との矛盾なき結合がみられる.解説=塩田良平
感想・レビュー
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ymazda1
6
独歩が亀吉から哲夫になったけど独歩にはなっていない頃の日清戦争軍艦従軍記・・・最初から最後まで戦争イケイケな感じなのは、蘇峰主宰の新聞社の記者だったからとかは、たぶん関係なくて、おそらく「反戦」という概念すら存在していなかった時代、すべての日本人が、江戸時代の軍記物講談のノリで戦争を捉えていたってことなんかな・・・まあ、艦上から眺めた大陸の風景描写とかは、さすがだなって思ったけど・・・あと、岩波さんが、1940年というキナ臭い時代に『愛弟通信』という不似合いなタイトルでこの本を刊行した背景は気になる。。。
non
0
23-102:916。別物(S15年刷。定価四十銭。注釈なし)。独歩の従軍記者通信をまとめたもの。勝利の戦いにて、戦争の悲惨残忍さよりのんびり感の異様さ。「悪くニクさげなれど人の子と思へば不憫なり·敵の光景が悲惨なる丈け吾が心情は歓喜を以て充さる」2023/05/15
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