出版社内容情報
明治三十一年に発表された表題作は,『古今集』を和歌の聖典としてきた千年近い歴史がもつ価値観を転倒させた衝撃的な歌論であった.万葉の歌風を重んじ,現実写生の原理を究明した子規の歌論は,全篇に和歌改革への情熱が漲り,今なお我々を打つ.「あきまろに答ふ」「人々に答ふ」「曙覧の歌」「歌話」を併収. (解説 土屋文明)
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本屋のカガヤの本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヨーイチ
29
空文庫にて。「坂の上の雲」は読了日不明だが二回位は読んでいるはず。読書メーター参加前に読了作品を登録したはずが司馬作品中「坂の上の雲」と「龍馬がゆく」が登録漏れであることが判明。この二作が抜けているのは、些か赤面である。二十年位前だから未読でも仕方ないって気もするが。今、NHK・「坂の上の雲」を視聴途中で、俳優の熱演にほだされて本書を思い出した。青空文庫を漁ると難なくヒット。劇中に新聞連載のカットがあったので、読み易そうな気がしていたが、そうだった。変革者の熱意が溢れる文章と構成が面白い。続く2024/09/15
kaizen@名古屋de朝活読書会
27
歌よみに与ふる書 「仰の如く近来和歌は一向に振ひ不申候。」 再び歌よみに与ふる書 「貫之は下手な歌よみにて「古今集」はくだらぬ集に有之候。」 三たび歌よみに与ふる書 「前略。歌よみの如く馬鹿な、のんきなものは、またと無之候。」 最初の一文だけ読んでいっても、抱腹絶倒。 解説を土屋文明が書いている。とても勉強になります。 関連文献を拝読したら、また読みます。今昔秀歌百撰http://researchmap.jp/jo98dmxoy-1787586/#_1787586にも正岡子規の詩と解説あります。2013/04/21
nao1
24
私が今まで読んだ著者のうち、悪口が上手なのは、内田百けんと、正岡子規^^正岡子規は韻文に精通しているだけあって、悪口のリズムが抜群です。百人一首にある「・・・初霜の置きまどはせる白菊の花」には「初霜が置いた位で白菊が見えなくなる気遣無之候。趣向嘘なれば趣も糸瓜も有之不申」とバッサリ(笑)。深い見識と愛がある悪口は読んでいて気持ちがよい。「古今集」がくだらぬと言われるとそんなにくだらないなら読んでみたいと思ったほど。「坂の上の雲」とあわせて読むと、子規が仲間を集めて歌論をかわしている姿が浮かぶようです。2016/01/18
クラムボン
22
子規は俳句や和歌など短詩の世界の革新を目指した。その拠点が記者としての新聞「日本」であり、「歌よみに与ふる書」の連載は彼の30歳明治31年である。冒頭「…近来和歌は一向に振ひ不申候。正直に申し候へば万葉以来実朝以来一向に振ひ不申候。」文章は擬古文であり候文。古今集以降今日までの歌について、過去の歌を手本に踏襲した積重ねが陳腐な歌を生み出し、理屈っぽいと評した。特に連載2回目には「貫之は下手な歌よみにて「古今集」はくだらぬ集に有之候。」子規の写実に徹した歌への思いは、極端なるが故に愛おしさも格別だ。2025/02/12
双海(ふたみ)
16
腹が立って途中で放り出した本。2014/07/04