出版社内容情報
ササラを摺りつつ語る大道・門付けの乞食芸として行われた説経節。今に伝わる演目から、後世の文学・芸能に特に大きな影響を与えた五作品を編む。語りの文体は臨場感に満ち、〈病〉を得た俊徳丸をかつぎ歩く乙姫、冥途から蘇った小栗判官を乗せた土車を引く照手姫など、力強い女主人公たちのすがたは印象深い。
内容説明
かつて大道の語り芸として行われた説経節。今に伝わる演目から、後世の文学・芸能に特に大きな影響を与えた五作品を編む。語りの文体は臨場感に満ち、“病”を得た俊徳丸をかつぎ歩く乙姫、冥途から蘇った小栗判官を土車に乗せて引く照手姫など、力強い女主人公たちのすがたは印象深い。「山椒太夫」「愛護の若」「隅田川」の三篇も収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
56
「俊徳丸」「小栗判官」「山椒大夫」「愛宕若」「隅田川」の五編を収録。いずれも高貴な身が落魄し悲惨な目に遭うが、やがてその地位を回復するという大筋は共通している。違うのは前者三篇はハッピーエンドに終わるのだが、後者二編は悲劇のまま幕を閉じる点か。ただどの話も運命の転変というものを感じさせて、どこかギリシア悲劇を連想させられるなあ。あと折口信夫がこれらを指して「貴種流離譚」と評したけど、その言葉の意味が実際読むとしみじみと納得できた。それはそれとして話自体も面白いので、何百年も民衆に愛されていたのも納得。2024/03/16
アメヲトコ
8
俊徳丸・小栗判官・山椒太夫・愛護の若・隅田川の説経節名作5編を収録。近世初期の正本を底本としているものが多く、声に出したくなる読みやすさがあります。あらすじは知っていてもこうやって読むと味わい深いですね。愛護の若の結末はなかなかの超展開で唖然。2025/05/27
spica015
6
本来、聴く・観る芸能である説経節がこのように手に取りやすい形で読むことができるのは大変意義深い。「俊徳丸」をはじめとするどの作品も、後の操り芝居や歌舞伎、文学、美術に与えた影響は大きく、それらを鑑賞する手引きにもなっている。現代人からすれば馴染みのない文体だが、本来語り芸であることから、旋律が感じられるし、あらすじと丁寧な校註で意味も取りやすい。『摂州合邦辻』が「俊徳丸」だけでなく「愛護の若」をも下敷きにしていることがわかった。説経節から浄瑠璃へエンタメ化されていく過程も知りたくなった。2023/08/13
まどの一哉
4
中世後期から江戸初期に流行った大道芸「説教節」の中から、語り継がれ今に残る名作5編を収録。 往来で演じられた大衆演芸だけにさすがにドラマティックで悲劇的。その演出もエンターテイメントの法則をはずさず、過酷な運命を生きる主人公達に感情移入して手に汗握る出来栄えとなっている。 2023/12/07
さえもん
1
俊徳丸と小栗判官は、手紙のやりとりだけをもって、一生添い遂げようとする気持ちが、現代の我々にとっては理解しがたいものになっている。山椒大夫が断然おもしろかったけど、なぜ悪役側の名前が話のタイトルになっているんだろう。2025/01/28
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- 和書
- 地籍調査必携 〈’05〉