出版社内容情報
杜甫・李白・蘇軾などの漢詩を、江戸時代後期の漢詩人柏木如亭が当時の話し言葉をつかって訳した漢詩集。原詩に忠実に、しかも初学者にはわかりやすく工夫した現代語訳は、訓読とは又一味違う、出色のできばえ。
内容説明
杜甫・李白・蘇軾などの漢詩を、江戸時代後期の漢詩人柏木如亭が当時の話し言葉をつかって訳した漢詩集。原詩に忠実に「訳」し、同時に初学者の理解をたすけるための「注」を付ける、という難題を解決。見事なできばえのこなれた「訳注」を完成させた。従来の訓読とはひと味もふた味も違う、清新な味わいの“現代語訳”。
目次
晩晴堂刪定訳註聯珠詩格巻之一(漫興(杜甫)
渓陰堂(蘇軾) ほか)
晩晴堂刪定訳註聯珠詩格巻之二(漫興(杜甫)
湖陰の壁に書す(王安石) ほか)
晩晴堂刪定訳註聯珠詩格巻之三(張書記に寄す(杜荀鶴)
山中(盧仝) ほか)
晩晴堂刪定訳註聯珠詩格巻之四(誠斎に答ふ(朱熹)
別れを悵む(杜牧) ほか)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
テイネハイランド
12
唐宋時代のアンソロジー「聯珠詩格」を、江戸の漢詩人である柏木如亭が口語訳を行ったもの。宋詩が含まれているため、「唐詩選」などと比べると平明な作品が多く収められているとのこと。如亭は、このテキストの原案を使って信州で弟子たちに詩を教えていたらしい。読み物としてこの本を評価するなら、詩の形式が「七言絶句」に限定されており、名詩ばかりが収められているわけではないので、初読だと若干単調に思えてしまう。白楽天による52番目の「聞亀児詠詩」などは興味深いので、白楽天の個人選集などを今度読んでみたいとはおもう。2015/12/23
しずかな午後
8
江戸のボードレールなどと呼ばれることもある漢詩人・柏木如亭が、唐代から宋代に及ぶ漢詩の名品を選び、そこに独自の口語訳を付けたもの。江戸時代の軽妙な(そして丁寧な)口語訳が楽しい。漢詩のチョイスとして、蘇東坡や黄山谷が多く、題材に植物や風景を詠んださっぱりとした作品が多いのは、時代の好みなのだろう。楽しく読めた。2023/06/11
壱萬参仟縁
8
「聯珠」とは、美しい表現を連ねた詩句で、「詩格」とは、表現上の形式(282ページ)。「雪後」の譚知柔作では、「晩酔(くれがたのきげん)で筇(たけづゑ)に扶(つかまつ)て別(となり)村へ過(でかけ)れば 数家(いへなみ)の残の雪が籬根(かきね)を擁(つゝんだやう)にみゑる 風前(かぜ)の有恨(うらめしい)は梅千点(はなのたんとちる)のだけれど 渓上(かはゞた)は無人(ものしづか)で月の一痕(うつゝてゐ)るのがおもしろい」(90ページ)。漢字の読み方を工夫して、なんとか意味をとれるようにした校注は助かるもの。2013/02/15
KAZOO
6
江戸時代の漢詩の詩人が中国の高名な漢詩人の詩を当時の口語訳をした詩集。見開き2ページに一つの詩を白文と読み文と訳文、しかも漢字にすべてルビが振ってありわかりやすく、註も書かれています。現在でもわかりやすく、通じると思います。2013/03/23
Lyijykyyneleet
4
漢詩に著者が訳文を付けた詩集なのだが、この訳のセンス、文面から伝わる信じられないほど瑞々しい感性に圧倒させられる。単なる逐語訳や意訳ではない。すごいです。
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