出版社内容情報
「三人吉三廓初買」は,黙阿弥45歳の時の作で,八百屋お七等の説話を背景としたお嬢吉三,お坊吉三,和尚吉三の三人吉三の盗賊物語に,文里,一重の情話をないまぜた6幕の世話狂言である.抒情的絵画美と音楽的な台詞とに富み,爛熟頽廃期の歌舞伎作品の特色を遺憾なく具現している,白浪狂言中の白眉.
感想・レビュー
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梟
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河竹黙阿弥会心の作。三人の吉三郎による白浪物語と文里一重の情話の2つの物語が百両の金と宝刀庚申丸をめぐって複雑に絡み合う。悪の華と言うのにふさわしい吉三たちの活躍。細かい旧字体の割にスラスラ読めた。なんと言っても注目すべきは黙阿弥特有の七五調。あまりにも有名な「月は朧に白魚の…」の名台詞はもちろん、セリフの一つ一つがリズムよく、声に出して読みたくなる。現在は文里と一重の情話を省略しての上演がほとんどなので、全ての話を知ることが出来て良かった。なんと言っても大川端の場での女装盗賊、お嬢吉三がカッコよすぎた。2018/10/29
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