出版社内容情報
滑稽本の代表的作家たる十返舎一九の二十八歳から三十五歳までの八年間の苦心の作であり,彼の名を不朽にした傑作である.恬淡にしてしかも虚栄にみち,強がりではあるが実は臆病な江戸ッ子の特性をもった弥次郎兵衛,北八が伊勢参宮,大和めぐりと旅をする間に起る失敗談などを,おもしろおかしく記した滑稽小説.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
305
伊勢に参詣した後は京、大坂まで脚を伸ばし、帰途は木曾街道から善光寺を巡り、めでたく帰江。続編『木曾街道膝栗毛』の予告付き。一九は執筆に際して、実際に取材旅行を敢行していた。現代と違って、各地のローカルな情報がなかなか江戸に届かなかったためである。また、編を重ねるごとに読者が増え、旅のガイドブックとしての実用性が高まったためでもあった。作中でも五編下に一九の偽物が登場する。これも実際に起こったことを物語に取り込んだもの。さらには、五編追加では髪結いの場面が描かれるが、これも読者からの疑問、すなわち⇒2024/09/19
ykmmr (^_^)
105
伊勢参りを終え、京大坂に足を伸ばす下巻。まあ、相変わらずなのだが。上品系の元禄文化のこちらに化政文化の滑稽・洒落が突っ込み。ある意味融合(笑)。化政文化の第一人者の一九。ジャンルは滑稽本なんだが、物語に効果をもたらしていると言う事で、洒落本。さらには彼の絵入りが読みやすさをもたらしているので、合巻とも取れるのではないか。しかし、その粋な文化も政治統制で厳しく、同期の作家などは処罰を受ける事が多かった中で、その中に入る事なく、長い時間はかけながらも、自分の作品を書き切れた事は幸せで、粋だったと思う。2021/11/19
やいっち
91
上巻を読み始めたのは十日頃か。コロナ禍で旅行も行けない中、せめて本の上で長旅気分と読み出した。94年頃、新潮社の文学全集の中の一巻を図書館から借り出して読んだっけ(当時は失業中だった)。長いとは到底言えない2週間ほどの旅も明朝には草鞋を脱ぐことになりそう。徒歩での長旅など今生 やることはないだろう。東海道は、新幹線やバイク(高速道)でなら何度か。夜行や寝台車でも通過したことはある。2021/09/25
まふ
84
面白い。滑稽本の代表作だが、言葉が生き生きしている。弥次さん喜多さんの表情がすばらしい。原文だが言葉は現在我々が使っているものとほとんど同じだ。まさに言文一致の姿。狂歌がよい。センスがあるし、ある意味での品もある。すべてよしだ。2003/11/07
syaori
43
伊勢参りを済ませて京都、大阪を見物。宿場宿場を移動していく上巻と違って伊勢、京都、大阪を巡る下巻は、江戸っ子の二人と上方の気質の違いが出て楽しいです。念願の伊勢に参っても、花の都京を見物しても、天下の台所大阪で遊んでいても、相変わらず悪ふざけと失敗を繰り返す二人。弥次さんがお腹を下す騒動は、本当に下らないんですがつい笑ってしまいます。最後はまさかのコンビ解散?? とドキドキしました。やはり二人には相変わらずの旅を続けてほしい。のらくらで同じような騒動を繰り返して、でもその変わらなさに安心もするのですもの。2017/02/08
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- 和書
- 法務通訳翻訳という仕事